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ワンレングスの切り方|くせ毛・骨格など現場で通用する考え方とは?

ワンレングスの切り方|くせ毛・骨格など現場で通用する考え方とは?

ワンレングスはシンプルなスタイルに見えますが、同じように切っても、同じ仕上がりになるとは限りません。髪質、骨格、くせ、生え方、これらが違えば、アプローチも変わります。

それにもかかわらず、「ワンレングスは一通りのやり方で切れる」と思い込んで進めてしまうことが、仕上がりが毎回安定しない原因です。

この記事では、LBLの講師が施術のコツと考え方を解説します。くせ毛・骨格・ネープの浮きといったケース別の対応方法から、前下がり・前上がりの使い分け、顔まわり・前髪の調整まで幅広く取り上げます。

目次

ワンレングスの定義|どのようなスタイルなのかを正確に理解する

訪問美容師としての理論の講座を受けるLBLの生徒

ワンレングスという言葉はほとんどの美容師に知られていますが、その定義や完成形のゴールを正確に言語化するのは難しい場合もあります。ここを正確に押さえておくことが、ワンレングスを安定して切るための土台になります。

ワンレングスの定義

ワンレングスとは、外側の髪も内側の髪も、自然に下ろしたときにすべて同じ位置で切り揃えられたヘアスタイルです。

日本では「ワンレン」という略称で広く知られています。単に毛先を一直線に切りそろえるだけではなく、技術的には非常に奥が深いスタイルです。

LBL講師の山崎

すべての髪が同一の長さで構成されているスタイルです。

引き出す角度は基本0度、自然に落ちる位置です。ガイドはアウトラインで、重さがそのままシルエットになります。

技術的にワンレングスを成立させるには、パネルの角度を0度に保ち、髪を持ち上げず重力に従って自然に下ろした状態でカットすることが条件です。わずかでも角度がつくと段が入り、ワンレングスにはなりません。

人の頭は丸いため、裾を揃えるには、頭頂部の髪が一番下のラインまで届く必要があります。そのため、上の髪ほど物理的な長さは長く、襟足ほど短い状態になるように計算されています。

シンプルに見えるからこそ、基本が崩れたときの影響が大きく出るスタイルです。

ワンレングスならではの特徴

ワンレングスが選ばれる理由は見た目の美しさだけではありません。このスタイルには他のカットにはない特徴があります。

まず、ツヤが出やすい点があり、表面の髪が途切れず一番下まで続くため光を反射しやすく、髪がきれいに見えます。次に毛先に厚みが出るため、モードでクールな印象を与えやすいです。

また段が入っていない分、跳ねにくくまとまりやすいため、日常のスタイリングが比較的楽になるというメリットもあります。

完成形のゴールをイメージしておく

切り始める前に完成形のゴールを明確にしておくことで、途中の判断がしやすくなります。

LBL講師の山崎

面がきれいに揃い、自然に内側へ収まる状態がゴールです。具体的には以下のような状態です。

・アウトラインが狙ったラインで揃っている
・左右差がない
・段差がない
・巻かなくても収まる
・毛先が暴れない
・セニングを入れすぎず毛先の厚みが残っている
・前後の厚みにそれほど大きな差がない

漠然ときれいに見えるという感覚的な判断ではなく、これらの基準を一つひとつ満たしている状態がワンレングスの完成形です。仕上がりを確認するときの判断基準としても使えます。

くせ毛やネープの浮きがあってもワンレングスはできるのか

くせ毛をワンレングスに仕上げる

ワンレングスはまっすぐな髪質の人にしか似合わない、くせがある人には難しいと思われがちです。ただ実際にはそうではなく、髪質やくせに合わせた設計ができれば、くせ毛の方にもワンレングスは十分対応できます。

くせ毛でもワンレングスは可能かどうか

LBL講師の山崎

くせ毛でもワンレングスは可能です。ただし、直毛向けの手順をそのまま当てはめるのではなく、くせを踏まえた設計が必要です。

くせを無視して直毛の人と同様に切ろうとするから狙いどおりに仕上がらないのであって、くせがある前提でゴールを設計すれば話が変わります。

ワンレングスの完成形は、乾いたときに面が揃って収まっている状態であって、濡れた状態でラインが真っすぐであることではありません。

失敗しやすいくせの特徴と注意点

くせがある場合は、特にテンションのかけ方に注意が必要です。

LBL講師の山崎

あまりにもうねりが強すぎたり、部分的に跳ねたりする場合は特にテンションには注意が必要です。

くせが強い髪は、引っ張ると伸び幅が大きくなります。その結果、切った長さが変わってしまい、ばらつきの原因になります。

ラインのみに過度にこだわらず、乾いたときに収まる、揃って見えることが重要です。

くせが強い髪は引っ張ると大きく伸びます。その状態で切ると手を離したときに大幅に縮み、思った位置より短くなるだけでなく左右差にもつながります。

テンションをかけずに自然な状態で切ることが、くせ毛のワンレングスでは特に重要です。

ネープが浮きやすい場合の考え方と対処法

ネープの浮きはワンレングスの仕上がりに直結するポイントです。ネープが浮きやすい方を押さえながら切ってしまうと、手を離したときに髪が戻り長さが変わってしまいます。

LBL講師の山崎

切る前に必ずネープの状態を確認することが重要です。

押さえて切らないことが基本です。また、押さえて落ちた位置ではなく、浮いた状態で完成させます。

テンションは可能な限り0にし、慣れないうちは少し長めに切ることを推奨します。

浮いた状態で完成させるという考え方は最初は違和感があるかもしれませんが、押さえた状態で切ると、後からズレが生じる場合があります。

ネープの状態を切る前に確認する習慣をつけておくだけで、仕上がりの安定度がかなり変わるので、意識的に確認することが重要です。

骨格や頭の形によってワンレングスの仕上がりは変わる

LBLでブランクがある美容師向けのカット講習を行っている様子

同じワンレングスを切っても、骨格や頭の形によって仕上がりの印象は大きく変わります。お客様の頭の形を事前に把握した上でアプローチを変えることが、ワンレングスを似合わせるための重要なポイントです。

絶壁・ハチ張りの補正方法

LBL講師の山崎

骨格補正の基本は、出ているところは削らずに抑え、凹んでいるところは残すことです。

ハチ張りの場合は、ハチ上に重さを乗せて抑えます。ハチまわりは削らず、内側だけを軽くし、毛先を締めて広がりを目立たなくすることが大切です。

ハチ張りが気になる場合、ハチまわりを削って軽くしたくなるのは自然な発想です。ただ、そのようにすると、さらに広がりが出てしまいます。ハチ上に重さを残して上から抑える形にすることで、張りが目立ちにくくなります。

広がりやすい人への対処

毛量が多く広がりやすい方の場合、ワンレングスの重さを活かすことが補正につながります。内側だけを軽くして外側の重さを残すことで、広がりを抑えながらワンレングスのシルエットを維持することが可能です。

毛先を締めることで広がりがさらに目立ちにくくなります。骨格補正はカットラインの工夫だけでなく、どこに重さを残してどこを軽くするかという量感の設計が核心です。

ワンレングスの前下がり・前上がりの違いと選び方

ハサミ

ワンレングスといっても、前下がりにするか前上がりにするかで仕上がりの印象はまったく変わります。どちらが正解というわけではなく、お客様の顔立ちや求める印象に合わせて使い分けることが大切です。

前下がりの特徴と印象

LBL講師の山崎

前下がりだとクールな印象を与え、小顔効果があります。

前下がりは顔まわりに向かってラインが下がっていくため、フェイスラインを縦に強調する効果があります。シャープでモードな印象を求める方や、小顔に見せたい方に向いているスタイルです。

前上がりの特徴と印象

LBL講師の山崎

前上がりだと柔らかくフェミニンな印象を与えます。

前上がりは顔まわりに向かってラインが上がっていくため、丸みのある柔らかい印象になります。柔らかい印象や可憐な雰囲気を出したい方、顔まわりに動きを出したい方におすすめです。

角度の目安と考え方

前下がり・前上がりどちらにするかだけでなく、角度をどのくらいつけるかも仕上がりを左右します。

LBL講師の山崎

角度についてはスタイルにもよるので一概には言えませんが、目安としては10〜15度程度です。

好みもあるでしょうが、まずはこの範囲を基準に考えることが適切です。

角度が大きくなるほど印象が強くなります。初めてチャレンジする場合や、お客様のイメージが明確でない場合は10度前後から始めて調整していくのが適切です。

カウンセリングでお客様が求める印象を引き出した上で角度を決めると、仕上がりのズレを防げます。

ワンレングスでは、顔まわり・前髪の調整で印象は大きく変わる

ロールブラシ

ワンレングスの全体的なラインが決まった後、顔まわりと前髪の調整が仕上がりの印象を大きく左右します。ここを丁寧に扱えるかどうかで、同じワンレングスでも顔への馴染み方がまったく変わってきます。

顔まわりだけ軽く見せたい場合の調整方法

全体の重さは残しつつ顔まわりだけ軽く見せたいというケースはよくあります。このときに、表面をすいて軽くしようとする人が見られますが、それがワンレングスの面を崩す原因です。

LBL講師の山崎

顔まわりの内側の中間だけ軽くすることで量感を調整します。デザインで軽く見せる方法として、少し前上がりにすると顔まわりが締まって軽く見えます。

表面ではなく内側の中間で量を調整するという考え方が重要です。外から見えるシルエットを崩さずに軽さを出すことができます。デザインの角度で軽さを演出するという発想も、ワンレングスならではのアプローチです。

前髪を作るときに失敗しないための注意点

濡れた状態と乾いた状態で長さの見え方が変わるため、濡れているときの判断を信用しすぎると短くなりすぎてしまいます。

LBL講師の山崎

濡れた状態を信用しないことが大事です。

乾くと上がるため、一度で切ろうとせず、少しずつ調整します。必ず長めから詰めていきましょう。

また、前髪の範囲(どこからどこまで切るか)を最初に決めておくことも重要です。

前髪は一度短くしすぎると、取り返しがつかないため注意が必要です。

長めの状態から少しずつ詰めていくことで、乾いたときの仕上がりを確認しながら調整できます。切り始める前に前髪の範囲を明確に決めておくことで、左右のバランスが崩れることを防げます。

ワンレングスはすべてのカットの土台になる基礎中の基礎

LBLでブランクがある美容師向けにカット理論を教える講師
LBL講師の山崎

ワンレングスはすべてのカットの土台です。ここが安定すると、ほとんどのスタイルの精度が上がります。

単独のスタイルとして習得するだけでなく、カット技術全体の土台として捉えることが重要です。

ワンレングスが土台とされる理由は、すべての髪を正確に切り揃えるという作業を通じて、左右対称に切る意識、狙いどおりのカットラインを形成する精度、ウェットの段階でベースを整える技術が身につくからです。

グラデーションやレイヤーといった、より高度なカット技法に入る前に習得しておくことを推奨します。

重さのコントロールという点でも、ワンレングスは極めて重要な練習です。ウェットカットの段階でベースがきれいに作れていないと、その後のドライカットやスタイルの修正が難しくなります。

土台が崩れた状態で仕上げを重ねても、結果が安定しにくくなります。

ワンレングスは美容師にとって最初の登竜門とも言える技術です。ここを丁寧に習得することが、その後のあらゆるスタイルの再現性を高めることに直結します。

ワンレングスやベーシックカットをさらに深く学びたい方へ

この記事ではワンレングスの定義から、くせ毛・骨格・ネープといったケース別の対応方法まで解説しました。ただ、知識として理解することと、実際に手を動かして再現できるようになることは別問題です。

くせ毛の扱い方や骨格補正の判断、ネープの処理は、やり方を知っているだけでは安定しません。正しい手順を繰り返しの中で体に染み込ませていくことが必要です。

また自分のくせに気づくためには、客観的なフィードバックを受ける環境が不可欠です。

ワンレングスの技術を現場で使えるレベルまで引き上げたい方、今の練習に手応えを感じられていない方は、LBLのカット講習を一度ご検討ください。

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この記事を書いた人

中山貴史のアバター 中山貴史 teto代表

株式会社teto 代表取締役。美容師としての現場経験を経て、2010年に訪問理美容tetoを開設。2014年に株式会社tetoを設立し、高齢者施設・医療機関向けの訪問理美容サービスを展開。

現在は約400施設と契約し、年間55,000名以上の施術を担当。これまでに100名以上の訪問美容師を育成し、福祉美容分野の人材育成にも注力している。

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