美容室でアシスタントとして働きながら、スタイリストデビューに向けて集中して学べる場所を探していた美容師が、LBLのベーシックカット講習で学び直しに挑戦しました。
ワンレングスの確認から始まり、レイヤー、グラデーション、ショートカット、刈り上げ、コピースタイルへと段階を踏んで進む講習です。
途中で練習の進め方を見直し、実際にお客様を担当する経験も重ねながら、最終回には6スタイルを目標時間内に仕上げられるまでに至っています。
回ごとに迷ったポイントと、切り方が変わったきっかけを知っておくと、サロンでのスタイリストデビューを目指すアシスタントの方が、自分の練習のどこを見直せばよいかが見えてきます。
受講前の状況と、LBLでの学び直しを決めた理由
プロフィールとこれまでの経歴
今回の受講生は、美容室でアシスタントとして働きながら、LBLのベーシックカット講習を受講しました。
| 免許 | 美容師免許 |
|---|---|
| 現在の働き方 | 美容室でパート勤務(アシスタント業務) |
| 受講前の技術 | ワンレングス合格程度 |
| 受講コース | Aコース:ブランクや未経験者向けベーシックカット講習 |
| 受講目的 | カットができるようになり、ほかの店でも働く |
これまでの経歴を聞くと、「前の会社ではワンレンに合格して、グラボブの練習を途中までして退職しました」と話していました。
前の会社を離れたあとも美容の仕事は続けていて、「前の会社をやめて、すぐ違う美容室にパートで入り、アシスタント業務をしています」とのことです。
ワンレングスは、毛先を同じ位置にそろえて一直線に切るカットで、ほかのスタイルの土台になる技術です。グラボブは、毛先に向かって髪が重なり合うグラデーションの段差を作るボブで、ワンレングスの次に習う技術にあたります。
受講前は、土台のワンレングスに合格し、段差を作る技術を学んでいる途中で、練習が止まっていました。
受講を決めたきっかけ
学び直しを考えたきっかけについては、「今の美容室では決まったレッスン日が無く、オーナーの予定次第なのでいつデビューできるかわからないので集中して学べるLBLに相談しました」とのことでした。
レッスンの日程が決まっていない環境では、練習を積み上げる計画を自分で立てにくく、次のスタイルに進む時期も見通せません。デビューまでの道のりを自分で区切って進めたいという思いが、LBLへの相談につながりました。
受講を急いだ理由もはっきりしていました。技術面の不安を聞くと、「グラボブのレッスンが止まって1年弱なのでまだ少しでも感覚があるうちに学んだほうが身につくと思っているので早く学びたい」との答え。
学びたい技術についても、「ワンレンだけ合格しているので、それ以外はしっかり学びたい」と、受講前から目標を具体的に描いていました。
技術以外の不安と、LBLを選んだ決め手
受講前には、技術を身につけたあとの働き方についても考えていました。技術面以外の不安を聞くと、「今の美容室は基本的にオーナーが入客するので、私が技術を身につけたとき、お客様を回してくれるか不安。」と話していました。
カットを覚えることと、覚えたカットをお客様の前で発揮できることは、別の問題です。だからこそ、技術を学ぶ場を選ぶときに、学んだあとの働き方まで見据えていました。
LBLを知ったのはホームページから。選んだ決め手を聞くと、「短期で学べて就労支援があり、Wワークをイメージできる」と答えていました。
今の職場でのアシスタント業務を続けながら、身につけた技術をほかの場所でも生かす。受講前から、そのような働き方を思い描いてのスタートでした。

1回目:ワンレングスは修正なしで通過、初めてのレイヤーへ
ワンレングスのチェック

1回目の講習は、受講前に合格したワンレングスを今も安定して切れるかを確かめるところから始めました。
ワンレングスは、髪を同じ長さにそろえて一直線に切るシンプルなカットです。シンプルな分、パネルの引き出し方や切る位置が少しずれるだけで、毛先のラインに段差やガタつきが出て、仕上がりにはっきり表れます。
基礎技術がどの程度身についているかを見るには、もってこいのスタイルです。
チェックの結果、ワンレングスは修正の必要がない仕上がりでした。土台が安定していることが確認できたので、その日のうちに次のステップであるレイヤー理論へ進みました。
LBL講師の山崎思っていたよりもかなりできている状態でした。レイヤーも次回のチェックを問題なく通過すると思います。
初めてのレイヤーと、左右をそろえる切り方


レイヤーは、上の髪を短く、下の髪を長く切って、髪に段を入れていくカットです。髪を持ち上げて切るので、引き出す角度や位置のわずかな差がそのまま段の高さに出ます。
初めてのレイヤーでは、カットにもアウトラインが上がりすぎたり、左右の段の入り方がそろわなかったりする場面がありました。
左右をそろえるために伝えたのは、得意な側を先に切り、そのあとで苦手な側を慎重に合わせていく方法です。
先に得意な側で形を作っておけば、苦手な側は一から形を探るのではなく、できあがった側を見本にして合わせる作業になります。基準がはっきりする分、迷いが減り、左右の差も小さくなります。
この方法を取り入れると、レイヤーはすぐに整い始めました。修正への反応も良く、講習はスムーズに進んでいます。
次に磨いていくポイントは、前上がりになりすぎず、左右対称のレイヤーを安定して切れるようになることです。あわせて、少し控えめに切る意識も持つよう伝えました。
切りすぎた髪は元に戻せないので、控えめに切って形を確かめ、足りない分を詰めていく方が、仕上がりを狙いどおりに近づけやすくなります。宿題は、ワンレングスとレイヤーの復習です。



分からない部分があった際にすぐ質問してくれるため、理解が曖昧なまま進んでしまうことがなく、非常に指導しやすいと感じました。
その都度確認しながら進められることで、無駄な時間が少なく、効率よく技術の改善や理解の深化につなげられています。
また、前向きに取り組めている点はとてもよいと感じました。楽しみながら学べていることもあり、飲み込みも早く、今後の成長が期待できます。
2回目:レイヤーは合格圏、グラデーションを一から組み直す
レイヤーのチェック
2回目の講習は、1回目の宿題として復習してきたレイヤーのチェックです。
前回は初めてのレイヤーで左右差が出ていましたが、今回は顔周りの段を少し修正する程度で、ほとんど手直しのいらない仕上がりです。形もきれいにまとまり、レイヤーの考え方をしっかり理解していることが伝わってきました。
1回目から2回目までの間に、得意な側で形を作ってから苦手な側を合わせる切り方を、自宅で繰り返し練習してきたことが仕上がりに表れていました。



自主練に積極的に取り組んでいたことがうかがえ、以前と比べて技術が着実に向上していることがよく分かりました。
練習中も集中できており、説明した内容の理解も早く、飲み込みも早いです。
引き出し角度45°と、頭の形に沿った回り込み
続いて取り組んだのがグラデーションです。
前の会社でグラボブを途中まで習っていましたが、レッスンが止まってから1年近くたっていたこともあり、今回は一から組み立て直しました。飲み込みが早く、講習の早い段階でグラデーションの形ができあがっています。
グラデーションは、髪を低めの角度で引き出して切り、毛先に向かって髪が重なり合う段差を作るカットです。
引き出す角度が上がれば段は高い位置に入り、下がれば低い位置に入ります。パネルごとに角度がぶれると段の高さが上下して、裾のラインが波打って見えてしまいます。
グラデーションの高さが上下する場面があったので、引き出す角度を45°に保つことを、次のポイントとしました。45°は、この先のスタイルでも基準になる角度です。繰り返し確認しながら、体で覚えていくことを目指します。
もう一つのポイントが耳の後ろです。頭の丸みが大きく張り出しているこの部分は、パネルを真後ろにまっすぐ引き出して切ると、切り口が頭皮から離れてしまいます。
グラデーションの段差がうまく入らず、耳の後ろだけが重たく残る原因になります。頭の形に沿って自分の立ち位置を変えながら回り込み、頭皮に対して角度を保ったまま切る意識を持つよう伝えました。
宿題は、引き出す角度を45°に保つ技術を身につけることと、頭の形に沿って回り込む意識を持つことの2つです。次回のグラデーションチェックに向けて、この2点を自宅で練習していきます。



後半が安定すれば前半も自ずとよくなると思うので、早めに合格できると思います。
分からない点をそのままにせず、自分なりに考えたうえですぐに質問できているため、迷ったまま作業を続けることが少なく、限られた練習時間を効率よく活用できていました。
3回目:手順を見直して、30分以上かかっていたグラデーションを20分で
3回目の講習は、前回から練習してきたグラデーションの復習とチェックに取り組みました。
切り始めると、自宅で練習を重ねるうちに、グラデーションを切る手順が少し入れ替わっていたことが分かりました。グラデーションは、最初に作った段差をガイドにして、次のパネルをそのガイドに合わせて切り進めるカットです。
手順が変わると、合わせるべき基準があいまいになり、パネルごとに段の位置がずれていきます。カットでバックがガタついていたのも、この手順の入れ替わりが原因でした。
そこで、手順を最初から見直し、前回伝えた引き出し角度と、頭の形に沿って回り込むための立ち位置もあわせて確認し直しました。手順どおりに切り直すと、ガタついていたバックはきれいにそろいました。



その後の飲み込みが良く、アドバイスも的確に取り入れていました。
変化は仕上がりだけでなく、時間にも表れました。
講習の初めには1スタイルに30分以上かかっていたグラデーションが、手順を整えたあとは20分で作れるようになっています。チェックは30分を計って行いましたが、20分で切り終え、仕上がりも良好でした。
手順が決まっていれば、次に何をするかを考えて手を止める時間がなくなります。正確さとスピードは別々に身につけるものではなく、正しい手順の上で一緒に伸びていくものだと実感できる回でした。
講習の後半は、ショートカットの理論に進みました。宿題は、この日に学んだショートカットを20〜30分程度で切れるようになることです。次回はショートカットの復習を行い、仕上がりを確認してチェックに進みます。



ショートカットについても少し指導してもらった感じで、特に問題もなく、時間はかからないと思います。
4回目:ショートカットに合格、練習期間の取り方を見直す
4回目の講習は、前回学んだショートカットの復習とチェックに臨みました。
切り始めは手順を確かめながら進めていましたが、途中で修正点についてアドバイスを受けると、すぐに切り方を修正し、ショートカットのチェックに合格しました。



もともと飲み込みが早いこともあり、少しのアドバイスでショートカットの試験には難なく合格できました。
今回の受講生の強みは、伝えたことを忠実に、正確に再現できるところです。手順を一つずつ説明すれば、その場で形にできる力があります。
この強みを次の段階へつなげるために、講習の進め方を見直しました。教わった手順どおりに切れることと、目の前の頭に合わせて切り方を判断できることは、別の力です。
実際のお客様は、頭の形も髪の量も一人ひとり違うので、手順を覚えているだけでは対応しきれない場面が出てきます。
講習で学んだ手順を自宅で何度も練習し、なぜこの角度で、なぜこの順番で切るのかを理解できるようになると、ベーシックスタイル以外にも応用できる技術として身についていきます。
講習と講習の間に自主練習の時間をしっかり確保することが大切です。そこで、練習の進み具合を見て、必要に応じて講習の間隔を少し空け、宿題に取り組む期間を長めに取ることも選択肢に入れました。
講習の回数をこなすことより、1回ごとに学んだ技術を定着させてから次へ進む方が、受講後に現場で使える技術になるからです。
講習の後半は、刈り上げの理論に入りました。刈り上げは、襟足やサイドを短く刈り込み、上の髪へ自然につないでいく技術です。宿題は、この日に学んだ刈り上げスタイルの練習。次回は、自主練習の成果を確かめながら進めていきます。



自主練習をすることで技術の定着や理解の促進につながるので、練習期間を長めに取って宿題に取り組んでもらうか、来週の講習で様子をみて判断したいと思います。
5回目:初めてのコピースタイルで見えた次のステップ
刈り上げのバリカンの当て方と接合部の処理
5回目の講習は、前回学んだ刈り上げの復習から始めました。
刈り上げは、バリカンの刃が頭に当たる位置や角度がそろっていないと、刈り込む深さが場所ごとに変わり、表面に凹凸が出ます。
実際にやってみると、刈り上げにもボコボコとした部分が見られたので、バリカンをどこに当てるかを改めて説明しました。当てる位置が定まると、刈り込む深さが一定になり、表面がなめらかにそろっていきます。
もう一つのポイントは、境目の処理です。短く刈り上げた部分と、その上のハサミで切った髪との境目には、段差の角が残りやすくなります。
この角をいきなり取ろうとせず、一度セニングで境目をある程度ならしてから角を取るよう伝えたところ、刈り上げは自然につながるようになりました。
セニングは便利な分、頼りすぎると仕上がりがぼやけるので、使いすぎないことも今後の課題として取り組んでいきます。
コピースタイルへの挑戦
講習の後半では、初めてのコピースタイルに取り組みます。コピースタイルは、見本のスタイルを見て、これまでに習ったワンレングス、レイヤー、グラデーション、ショートカットの技術を組み合わせて再現する練習です。
一つずつ習ってきた技術を、どの部分にどう使うかを自分で判断する必要があるので、単体のスタイルを切るときとは違う難しさがあります。
1回目は一つひとつ教えながら進め、形にはなったものの、受講生自身もまだ納得のいく仕上がりではありませんでした。そこで改めて一つずつ解説し、講師が半分を切って見せ、残りの半分を受講生が切る形で手順を確認していきました。
隣に完成した見本があれば、段の高さや角度をその場で見比べながら、自分が切る側で同じ形を再現できます。この進め方で行った2回目の練習では、ある程度形になりました。
次に目指すのは、講師のアシストなしでコピースタイルをある程度切れるようになることと、刈り上げを時間内に仕上げられるようになることです。この回からは、講習の間に取り組む課題も具体的に出しています。
宿題はコピースタイル2つと刈り上げの練習です。



コピースタイルに、本人も思っていた以上の難しさを感じていたようですが、良い刺激を受けた様子で、講習後も課題についての質問が何度もありました。
練習は大切なので、これを機に、積極的に取り組むようになれば、より速く成長できると思います。
6回目:コーミングとパネルをそろえ、基礎を固め直す
パネルの量と引き出す角度をそろえる
6回目は、ショートカット、コピースタイルのレイヤーボブ、刈り上げの復習に取り組みました。前回と比べて良くなった部分も増え、伝えた内容を理解しながらその場で修正できています。


ショートカットで重点的に見たのは、耳周りの切り方、コーミング、バックのグラデーションです。なかでも重点的に確認したのが、コーミングとパネルの取り方でした。
パネルを一度に多く取りすぎると、パネルの上側と下側で引き出す角度が変わってしまい、同じパネルの中でも段の高さがそろいません。
コーミングでパネルの中の毛流れを整えないまま切ると、どの髪をどの位置で切っているのかが自分でも見えにくくなります。
今回やり始めたときも、パネルの量や角度のばらつきがグラデーションの仕上がりに表れていて、宿題のショートレイヤーにもレイヤーの高さやバックのグラデーションには、さらに整える余地がありました。
そこで、パネルの取り方とグラデーションの角度の確認まで戻り、一つずつ確かめながら切り進めました。手順を一つひとつ確認していけば、完成形に近づけられます。次回に向けて意識するポイントは3つです。
- パネルを均一で一定の厚さに取る
- コーミングを丁寧に行う
- 引き出す角度を一定に保つ
応用より基礎を固める方針へ


刈り上げは、以前と比べて形が整うようになってきました。次に磨いていくのは、接合部の処理と長さの設定です。
今回の講習を受けて、今後の講習は応用技術へ進むより、少し戻って基礎を安定させることを優先する方針にしました。
コピースタイルのような応用スタイルも、一つひとつはパネルの取り方、コーミング、引き出す角度の組み合わせでできています。土台の動作がそろえば、どのスタイルを切るときにも同じ精度で切れるようになり、応用技術の習得も早くなります。
宿題は、ショートカットと刈り上げの反復練習です。次回もショートカット、レイヤー、グラデーションを通して、基本の動作を重点的に見直していきます。



本人が現在の技術レベルや課題を認識できている点は良く、課題を把握した上で受講回数を増やすことも検討しているため、今後の練習次第では大きく改善できると思いました。
7回目:セクションごとに仕上げる切り方と、練習内容の共有
グラデーションをセクションごとに完結させる


7回目の講習は、刈り上げ、ウルフカットのコピースタイル、グラデーションの復習に取り組みました。前回から続くテーマは、グラデーションのラインをそろえることと、コーミングを安定させることです。
グラデーションのラインがそろわないとき、原因はパネルの分け方にあることがよくあります。
セクションの境目があいまいなまま切り進めると、どこまで切り終わり、どこからがまだ切れていないのかが分からなくなり、同じ場所を二度切ったり、切り残しが生じたりします。
実際にやってみたところ、パネルの分け方があいまいになり、今どの部分を切っているのかがつかみにくくなる場面がありました。
そこで、基本に戻って確認し直し、セクションを明確に分けて、一箇所ずつ切り終えてから次へ進む方法で練習しました。
一つのセクションを仕上げきってから次に移れば、切っている範囲が常にはっきりし、仕上げたセクションがそのまま次のパネルのガイドになります。確実にできるようになるまでは、この進め方で一つずつ積み上げていきます。
セニングで削って整える刈り上げと、その注意点
刈り上げでは、基本的な進め方とは少し異なる方法として、セニングを多めに使い、削るように形を整えていく方法も練習しました。
この方法には注意点もあります。セニングに頼りすぎると、刈り上げのラインや短い部分と長い部分のメリハリがあいまいになり、全体がぼんやりとした仕上がりになりやすくなります。
セニングは形を整えるための手段の一つとして使い、ラインを出したいところはバリカンやハサミで輪郭をはっきり残す。この方法とあわせて、こうした使い分けも伝えています。
練習は量だけでなくやり方も、写真で練習内容を共有
この回で見えてきた次のポイントは、完成形をイメージしながら、自分で考えて切り進める習慣です。
手順を追うだけでなく、なぜこの切り方をするのか、どうすればこの形になるのかを考えながら切ると、パネル一枚ごとの意味が分かり、途中でずれたときにも自分で気づけるようになります。
基本技術の反復練習に、この考える習慣を重ねていくことが、ここからのテーマになりました。
講習中は指摘をすぐに反映できる一方で、自宅での練習は一人で進めるので、課題とずれた練習をしていても気づきにくくなります。
そこで今後は、練習する内容や取り組み方をより具体的に伝え、必要に応じて練習の写真を共有してもらいながら、課題に沿った練習を行い、グラデーションを安定させることが目標です。
この回も、伝えたことをすぐに手元の作業へ反映させていました。



再指導した内容を素直に受け入れ、すぐに修正する能力は高いです。修正が早い点はよいところだと感じます。
8回目:お客様を担当して、完成形から考える施術へ
半頭の完成形に合わせて反対側を切る練習
8回目の講習は、刈り上げ、ショートのコピースタイル、メンズの2ブロックスタイルに取り組みました。
前回までのテーマだったグラデーションのばらつきは改善し、全体に安定した仕上がりになっています。コーミングも以前と比べてかなり良くなり、講習の間にしっかり練習を重ねてきたことが、手元の動きから伝わってきました。
この回は、頭の半分を講師が仕上げて完成形を見せ、その仕上がりに合わせて受講生が反対側を作る形で進めました。
手順を一つずつ追うのではなく、すでにできあがっている側を見ながら、段の高さ、毛先の重なり、前後のつながりが左右でそろうように切っていきます。前回から取り組んでいる、完成形をイメージしながら切る練習を、目に見える形で行った回です。


あわせて、セニングの使い方とラインのぼかし方も改めて練習しました。刈り上げやグラデーションの境目をどこまでなじませ、どこを輪郭として残すかで、同じスタイルでも仕上がりの印象が変わります。



完成形を意識しながら施術することで、バランスやつながりを考える良い練習になりました。
お客様を担当して変わった質問の中身
7回目と8回目の講習の間に、実際にお客様を担当していただきました。この経験を境に、施術への向き合い方がはっきり変わっています。
変化が表れたのは質問の中身です。以前は、迷ったときにまず質問して答えを確かめることが多くありました。お客様を担当してからは、自分で考えて答えを出したうえで、その考えが合っているかを確認する質問に変わっています。
言われたとおりに切るのではなく、完成形を見据えて自分で判断しながら切れるようになってきました。
受講生本人に聞くと、「お客様を前にしたほうが集中して施術できる」と話していました。目の前に仕上がりを待っているお客様がいると、どのような形に仕上げるかを具体的にイメージしながら切ることになります。
ウィッグでの練習とは違う緊張感が、考えながら切る習慣を後押ししていました。



実際にお客様を担当したことで、本人にとってかなり良い刺激になったように感じます。
実践を通して、これまで練習してきた技術が現場でどのように生かされるのかを実感できたことも大きかったと思います。
本人も「カットが楽しかった」と感じていたようで、その経験が技術習得への意欲や意識の高まりにもつながっているように感じました。
今後も実際の現場を意識しながら練習を重ねることで、さらに成長していけると思います。
刈り上げの耳後ろと、切り残しの確認習慣


刈り上げで次に磨いていくのは、バリカン操作の安定感です。特に耳の後ろは、頭の丸みと耳の出っ張りがあってバリカンの当たり方が変わりやすく、ガタつきが出やすい部分です。
今回の受講生は、形が崩れた部分をリカバリーする技術が上達していて、最終的にはある程度形を整えられるようになってきました。
もう一つのポイントは、仕上げの際に刈り残しがないかを確認する習慣です。
刈り上げは部分ごとに刈り進めるので、一部分を刈り忘れても、刈っている最中には気づきにくいものです。最後に頭全体を見渡して切り残しを確かめる流れを、毎回の施術に組み込んでいきます。
宿題は刈り上げの復習です。標準的な刈り上げスタイルを安定して作れるように、同じ基本スタイルを最低2回は練習してもらうようにしました。
同じスタイルを続けて切ると、毎回同じ仕上がりを出せているかを確かめられ、ずれが出た部分も1回目と2回目を見比べて見つけやすくなります。
9回目:セニングの表と裏を使い分け、施術時間を計り始める
グラデーションの高さとセニングの表裏
9回目の講習は、ショートカットと刈り上げの復習に取り組みました。
ショートカットのグラデーションでは、全体的に段の高さが上がりすぎる傾向が見られたので、引き出す角度とあわせて、パネルを引き出す位置を確認し直しました。
角度が合っていても、引き出す位置が本来より上にずれると、段は狙いより高いところに入ります。角度と位置の2つをそろえて、はじめて狙った高さのグラデーションになります。
セニングについては、表面と裏面それぞれの特徴と使い方を改めて説明しました。
セニングシザーは、表面で使うか裏面で使うかによって切れ方が変わるので、施術中に何度も持ち替えていると、今どちらの面で切っているのかがあいまいになり、仕上がりが一定しません。
迷わず使えるように、基本は表面を中心に使い、必要な場面でだけ裏面を使う形を身につけていきます。
入客が見えてきた刈り上げ


刈り上げは、以前と比べてかなり形が整うようになってきました。前回取り組んだバリカン操作の安定化と、仕上がりの確認を重ねてきたことで、ガタつきの少ない刈り上げに近づいています。
残るポイントは、刈り上げた部分と上の髪をつなぐつなぎ目の処理を、もう一段丁寧に仕上げることです。



接合部の処理をもう少し丁寧にできるようになれば、接客できるレベルに近づいていると思います。
丁寧さを保ちながら時間を縮める
技術が身についてきた段階で意識したいのは、慣れてきても手順や動作の丁寧さを保ち続けることです。
一度できるようになった切り方も、繰り返すうちに少しずつ手元の動きが省略され、気づかないうちに元の癖に戻っていくことがあります。正しい手順が身につくまで、講習のたびに確認と修正を重ねていきます。
耳周りを切る場面では、手が止まり、迷いが見られました。耳周りは、耳の形を避けながらラインを作るので、パネルの取り方やシザーの入れ方に迷いが出やすい部分です。ここも繰り返し練習して、自信を持って切れるようにしていきます。
この回からは、施術時間の短縮にも本格的に取り組み始めました。施術に時間がかかる理由は、手の速さよりも、迷っている時間や、やり直し、無駄な動きにあることがほとんどです。
手順を改めて確認し、仕上がりと丁寧さを保ったまま、迷う時間と余分な動きを減らしていきます。今後は毎回施術時間を計測し、本人にも時間を意識してもらいながら進めます。
宿題はショートカットと刈り上げの練習です。次回はこの2つを見直しながら、スピードトレーニングに取り組みます。



基礎的な技術は身についてきているため、今後は慣れによって手順や動作が雑にならないよう、基本を丁寧に実践することが課題です。
あわせて、施術時間への意識をこれまで以上に強く持ち、正確さを保ちながら効率よく施術を進められるよう指導していきます。
10回目:6スタイルを目標時間内に仕上げ、ベーシックカットを修了
6スタイルの復習と仕上げの細かな調整
最終回となる10回目の講習は、スピードトレーニングと、これまでに学んだ全スタイルの復習です。
最初に確認したのは、前回のテーマだったグラデーションの高さです。上がりすぎていた段の位置は安定し、講習と講習の間の自主練習が仕上がりにそのまま表れていました。
この日は6つのスタイルを続けて切りましたが、大幅な修正が必要な箇所はほとんどありません。指導の中身も、ずれを直すことから、より良く仕上げるための考え方や細かな調整へと移っています。
形を作れるようになった後は、同じ形をより美しく見せるための調整があります。最終回は、その段階に入ってからの講習となりました。
刈り上げの接合部を自然につなげる処理


刈り上げでは、講習を通して取り組んできた接合部の処理を改めて確認しました。
刈り上げた部分と上の髪を自然につなげるためのバリカンとコームの使い方、段差を残さないための処理方法をもう一度伝え、その場で作った刈り上げスタイルは、かなり良い仕上がりになっています。
5回目は、セニングで境目をならす方法を学ぶことから始め、7回目にはセニングに頼りすぎない使い分けを学び、8回目以降はバリカン操作の安定性と仕上げの確認を重ねてきました。段階を踏んで積み上げてきた練習が、最終回の接合部の仕上がりにつながっています。



心配していた刈り上げのつなぎ目の処理についても、少しのアドバイスでかなり安定してできるようになっていました。
仕上がりからも、自宅でしっかり練習を重ねてくれたことが感じられ、その成果が技術に表れていました。
時間と仕上がりの両立、現場に向けて
スピードトレーニングでは、各スタイルともおおむね目標時間内に仕上げています。時間を意識しながらも、手順を省いたり仕上がりを崩したりすることなく、最後まで丁寧に切り進めていました。
3回目には、グラデーションの施術時間を30分以上かかっていた状態から20分に縮め、9回目からは毎回施術時間を計ってきました。実際の現場経験を重ねたことで、時間への意識も大きく高まっています。
限られた施術時間の中で、お客様に満足してもらえる仕上がりにすること。サロンで求められるこの両立を、講習の最後には、しっかり実現できるようになりました。
これから入客していく際も、毎回時間と仕上がりの両方を意識して取り組むよう伝えています。カットを身につけて、ほかの場所でも働くという受講前に描いた目標に向けて、次の一歩を踏み出しました。



基礎的なカット技術については、一定のレベルまで身についたと感じています。
今後も現場経験を重ねながら研鑽を積んでいくことで、技術の応用力もさらに高まり、確実に成長していけると思います。





























































