訪問美容での洗髪(シャンプー)は、全施術の1%以下というのが実態です。この記事では、現場で実際に行われている洗髪方法5パターンと、体勢優先の考え方、必要な道府や防水の実務ノウハウを訪問美容師向けに解説します。
訪問美容で洗髪(シャンプー)が必要なケースはごくわずか

実施率は全施術の1%以下
訪問美容でシャンプーを実施する割合は、全施術の1%以下です。一般的な美容室ではカットとシャンプーはセットですが、訪問美容ではカットのみのお客様がほとんどです。
シャンプーを追加すると施術時間も料金も上がるため、カット後に施設の入浴でついでに洗髪を済ませるという流れが、利用者にとっても施設にとっても合理的な選択になっています。
カット後は施設の入浴で対応するケースが大半
施設でも在宅でも、カット後の洗髪はそのまま入浴のタイミングで済ませるケースがほとんどです。施設であれば介護スタッフが入浴介助の中で対応し、在宅であれば本人がお風呂でついでに流すか、家族や介護士などが洗髪を担当します。
teto代表中山訪問美容を始めようと思った際に、売り上げを考える時には、シャンプーは入れないで考えた方がいいです。
洗髪(シャンプー)が必要になる場面とは
洗髪が必要になるケースとしては、パーマやカラーの施術です。薬剤を使う以上、施術後に流さなければならず、シャンプーを必ず行います。
もう一つは、これまでずっと美容室でシャンプーありの施術を受けてきた方です。訪問美容に切り替わっても「シャンプーまでしてほしい」という希望を持つ方は一定数います。
美容室でのシャンプーは単なる洗髪ではなく、頭皮マッサージや湯加減の心地よさも含めた体験です。それを訪問美容でも継続したいという気持ちは自然なことですし、そのニーズに応えることも訪問美容師の仕事のひとつです。
洗髪前に必ず確認|体勢の安楽さが最優先


体勢の確認は最重要
訪問美容での洗髪は、美容室のように設備が整った環境で行うわけではありません。お風呂場や洗面台、ベッドなど、その方の生活空間をそのまま使うため、体勢に無理が生じやすい状況です。
高齢者や要介護者は、首や腰への負担が若い人とは比べものにならないほど大きく、無理な前傾姿勢や仰向け想像以上の苦痛になる場合もあります。シャンプーの仕上がりより、お客様が安全で安楽に過ごせるかどうかが最初の判断基準です。
声かけのタイミングと確認すべきこと
体勢がきつくないかの声かけは、洗髪中に必ず行います。洗髪前に「この体勢で大丈夫ですか」と確認するのはもちろん、洗髪中も「首は痛くないですか」「つらくなったら教えてください」と継続的に声をかけることが大切です。
本人が「大丈夫」と答えても、表情や体の緊張で無理をしているとわかることもあります。言葉だけでなく、様子を見ながら判断する姿勢が求められます。
訪問美容での洗髪方法5パターン





高級系の施設だと、施設内に美容室が設けられている場合もあります。その場合は、シャンプー台なども設置してあるので、お店でのシャンプーのように施術可能です。
1.お風呂場での前流し(最も一般的)
訪問美容での洗髪で最も多いのが、お風呂場での前流しです。
施術場所のひとつである脱衣所はお風呂場に隣接しているため、カット後の移動距離が短く済みます。歩行が不安定な方や足腰が弱い方にとって、長距離の移動は転倒などの事故リスクが高まるうえ、体への負担も大きくなります。
確実にお湯が使える上に移動が短いほど利用者の安全と負担軽減につながるため、近くにお風呂場がある場合はここで前流しを行うのが最も合理的な選択です。
2.洗面台での前流し(洗面所で施術した場合の第一選択)
施術を洗面所で行った場合は、そのまま洗面台での前流しが最も負担の少ない選択です。移動距離がほぼゼロで済むため、利用者への負担を最小限に抑えられます。
施設によっては、お湯が出る上にシャワーヘッドが伸びるタイプの場合もあり、お店のような感覚でシャンプーが可能な場合があります。
洗面台のボウルが突出しているので、水撥ねなども少なくシャンプーしやすい場所です。
3.移動式シャンプー台でのサイドシャンプー(仰向け)
移動式シャンプー台を使った仰向けでの洗髪は、一般的な美容室と同じ感覚で洗髪できる方法です。
お風呂場や洗面台が使えない環境でも対応でき、前傾姿勢がきつい方にも向いています。また、メイクを落としたくない方や、白内障などの術後で目に水が入らないようにしたい方にも適しています。
ただし、仰向けの姿勢が腰に負担をかける場合もあるため、体勢の確認は必須です。在宅での施術の場合は追加料金が発生することが多いので、利用前に確認が必要です。


4.ベッドシャンプー(寝たきりの方向け)
寝たきりの方に対しては、ベッド上でそのまま洗髪を行うベッドシャンプーという方法があります。専用の洗髪器具をベッドに設置し、仰向けのまま洗髪します。
ただし、この方法が必要になるケースは極めてまれです。teto(訪問美容)では毎月約5,000人の施術を行っていますが、ベッドシャンプーの対象になる方は1人いるかいないかというのが実態です。
寝たきりの方の多くは、入浴介助の中で洗髪まで対応されているため、訪問美容師が担当する場面はほとんどありません。
5.お風呂場での座位洗髪(体勢が取れない方の最終手段)


前傾も仰向けも体勢として難しい方には、お風呂場で座ったまま洗髪する方法があります。
シャワーを上から当てる形になるため、顔が濡れることは避けられません。服が濡れないようにシャンプークロスやタオルでしっかりカバーしたうえで対応します。他の方法が取れない場合の最終手段として位置づけられます。
訪問美容の洗髪(シャンプー)に必要な道具と首元などの注意点


基本セット(タオル・シャンプークロス・使い捨てカットクロス・ネックシャッター)
洗髪時に使う基本的な道具は以下の4つです。
- タオル:首元に巻いて水濡れを防ぐ基本アイテム。後述のビニール袋と組み合わせて使います。
- シャンプークロス:洗髪時に衣類を濡らさないために使用します。
- 使い捨てカットクロス:シャンプークロスだけでは丈が短い場合に重ねて使います。お風呂場での前流し以外では使わないケースも多いです。
- ネックシャッター:首元の隙間をふさいで水の侵入を防ぎます。
基本はタオルを巻き、シャンプークロスを巻き、ネックシャッターを使うので、サロン勤務の方も想像しやすいと思います。
ただ、お風呂場での前流しだとシャンプークロスでは短くて濡れてしまうので、長いクロスが必要になります。車いす用の長い物でもいいですが、濡れて他の方には使えなくなるので、tetoではオリジナルの使い捨てカットクロスを使っています。
首が細い方・隙間ができる方への対処|ビニール袋の使い方
基本の重ね順はタオルの下にビニール袋を襟に巻く形です。ビニール袋で隙間をなくすのではなく、どうしても隙間ができてしまう方でも、ビニール袋を伝う間にタオルが水を吸収してくれるため、衣類の濡れを防げます。
首が細い方はシャンプークロスやネックシャッターをつけても前側に隙間ができやすくなります。この場合は襟と首回り360度をビニール袋で覆います。前だけでなく全周を意識して巻くことで、体勢が変わっても対応できます。
認知症などで体が動いてしまう方は洗髪中にカバーがずれやすいため、施術前から念入りにカバーしておくことに加え、施設スタッフとの連携も有効です。



認知症の方は洗髪中に体が動いてしまうことがあります。無理に抑えようとせず、施設スタッフに同席を依頼するのが基本的な対応です。
多くの場合、施設側が利用者の状態を把握しており、訪問美容師が施術に入る際に自発的についてくれることがほとんどです。
事前に施設スタッフと情報共有しておくことで、スムーズに対応できます。











