訪問美容で介護保険は使えませんが、自治体の助成制度や国の補助金を活用できる場合があります。今回の記事では、利用者向け・事業者向けに分けて、使える助成金や補助金などをわかりやすく解説します。
訪問美容に介護保険は使えるか?

結論からいうと、訪問美容(出張理美容)は介護保険の適用外です。要介護認定を受けていても、訪問美容のサービス料金に介護保険を使って自己負担を減らすことはできません。
介護保険が適用されるのは、医療や介護に直接関わるサービスに限られています。散髪やヘアカラーといった理美容サービスはその範囲に含まれないため、利用料金は全額自己負担が基本です。
ただし、お住まいの自治体によっては、訪問美容の費用を一部助成してくれる制度がある場合があります。介護保険とは別の仕組みですが、条件を満たせば費用負担を抑えられる可能性があります。次のセクションで詳しく解説します。
teto代表中山デイサービスなどで訪問美容を受ける際も、介護の時間をいったん中断して自費で髪を切る時間を取るという形になります。
訪問美容で利用者側が受けられる助成制度とは?


訪問美容を受ける際に費用を少しでも抑えられないかということで、助成金などはないのかと聞かれることが時々ありま。
自治体によって様々ですが、調べてみると全国の多くの自治体が独自の助成制度を設けており、条件を満たす方は費用負担を軽減できる場合があります。
自治体独自の訪問理美容助成制度とは?
介護保険が使えない代わりに、全国の市区町村の多くが独自の助成制度を設けています。東京都だけでも62市区町村中44市区町村が実施しているほど(2024年調査時点)、広く普及している制度です。
この制度の目的は、理美容室に自力で行くことができない高齢者や障がいのある方が、自宅で安心して理美容サービスを受けられるよう、費用の一部を自治体が補助するというものです。
例えば福岡県飯塚市では、「65歳以上の市民で、かつ、要介護3以上の認定を受けた在宅の高齢者で、重度の寝たきり等のため外出が困難な者であって、市長が必要と認める者に、2カ月に1回、1,700円を助成する」としています。
助成の仕組み:どうやって安くなるの?
多くの自治体では、窓口に申請して認可されると助成券や利用券が交付されます。
訪問美容を利用する際にその券を美容師に渡すと、券の金額分がその場で差し引かれた料金で施術を受けることができます。いったん全額を支払う必要はなく、差額の自己負担分のみを当日支払うのが一般的な流れです。
ただし、仕組みの詳細は自治体によって異なります。券の枚数・金額・有効期限、利用できる事業者の範囲なども自治体ごとに定められているため、申請前に窓口で確認しておくと安心です。
助成を受けられる主な対象者
自治体によって細かい条件は異なりますが、全国的に共通している主な対象条件は以下の通りです。
- その自治体に住民登録がある方
- 65歳以上で、介護保険の要介護認定を受けている方(要介護3〜5が対象となることが多い)
- 身体障害者手帳をお持ちの方(下肢・体幹機能障がい1・2級など)
- 疾病・骨折・認知症などにより、自力で理美容室に行くことが困難な在宅の方
- 施設入居中の方は対象外となることが多い
助成の金額・回数の目安
助成内容も自治体によってさまざまですが、よくある例をご紹介します。
- 1回あたりの助成額:1,000円〜5,000円程度が多い(全国的な相場)
- 年間の利用回数:年4〜6回が一般的(2~3カ月に1度の利用)
- 利用者の自己負担:数百円〜数千円(自治体によって大きく異なる)
例えば、東京都世田谷区では65歳以上の要介護3〜5の在宅の方が対象で、年最大6回まで利用者負担が1,000円で利用できます。
愛知県東海市では、1回のサービス料金5,500円のうち5,000円を利用券で賄い、自己負担は500円という手厚い制度もあります。ただしこれらはあくまで一例であり、お住まいの自治体の内容とは異なります。
申請の流れ(一般的な例)
多くの自治体では、以下の流れで手続きが進みます。
- お住まいの市区町村の窓口(高齢福祉課・福祉政策課など)に申請書を提出する
- 申請が受理されると、助成券が交付される(郵送対応の自治体もある)
- 自治体が指定・登録した訪問美容事業者に予約を入れる
- 施術時に助成券を提示し、残りの自己負担分を支払う
なお、自治体が登録・指定した事業者以外では助成券が使えないケースがほとんどです。事前に対象事業者の一覧を自治体に確認するようにしましょう。
まずはお住まいの自治体に問い合わせを
訪問美容の利用者向け助成制度は、国が全国一律で行っているものではなく、各市区町村が独自に設けているものです。そのため、実施している自治体とそうでない自治体があり、金額や回数・対象条件もまったく異なります。
まずは以下の方法で確認してみてください。
- お住まいの市区町村の公式ウェブサイトで「訪問理美容」「訪問美容 助成」などで検索する
- 市区町村の高齢福祉課・障害福祉課・社会福祉課などの窓口に電話で問い合わせる
- 担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
ケアマネジャーがいる場合は、地域の助成制度に詳しいことが多く、申請のサポートをしてもらえるケースもあります。
訪問美容事業者が使える助成金・補助金(2026年最新)


訪問美容事業者が活用できる助成金・補助金は、大きく、国の補助金と雇用関連の助成金の2種類に分かれます。いずれも返済不要ですが、基本的に後払いのため、先に費用を立て替える必要があります。
小規模事業者持続化補助金【申請受付中・2026年4月30日締切】
訪問美容事業者にとってもっとも活用しやすい補助金です。ホームページ制作・チラシ作成・SNS広告・新サービスの設備導入など、販路開拓に必要な費用の2/3を補助してもらえます。
- 補助上限:50万円(特例活用時は最大250万円)
- 補助率:2/3
- 対象経費:広報費・ウェブサイト関連費・設備費・委託費など
- 第19回申請締切:2026年4月30日(木)17:00
※事業支援計画書(様式4)の発行受付締切は2026年4月16日(木) - 注意点:採択率は30〜40%台と厳しめ。事前に商工会・商工会議所への相談と経営計画書の作成が必要です。
IT導入補助金【随時受付中】
予約管理・顧客管理・会計・インボイス対応など、業務のデジタル化に使えます。訪問美容では、オンライン予約システムや顧客管理ソフト(CRM)、インボイス対応の請求ソフトの導入に活用できます。
- 補助上限:最大450万円
- 対象経費:ソフトウェア費・クラウド利用料・PC・タブレットなど(インボイス枠はハードウェアも対象)
キャリアアップ助成金【随時受付中・スタッフを雇用している事業者向け】
パートやアルバイトのスタッフを雇用している訪問美容事業者が対象です。非正規雇用のスタッフを正社員に転換したり、賃金を引き上げたりすることで助成金を受け取れます。
- 正社員化コース:1人あたり最大80万円(重点支援対象者の場合)
- 賃金規定等改定コース:賃金を一定以上引き上げた場合に助成
- 申請窓口:各都道府県の労働局またはハローワーク
- 注意点:取り組み開始前にキャリアアップ計画書の提出が必須。事前準備が重要です。
キャリアアップ助成金はこちら
ものづくり補助金【次回公募待ち・2026年5〜6月頃開始予定】
新しい訪問美容サービスの開発や、それに必要な設備投資に使える補助金です。補助額が大きい分、審査も厳しめです。次回公募は2026年5〜6月頃に開始が見込まれています。
- 補助上限:最大1,250万円
- 補助率:1/2〜2/3
- 活用例:新しい訪問ケアサービスの開発・移動型施術用設備の導入など
両立支援等助成金【随時受付中・スタッフを雇用している事業者向け】
育児や介護と仕事を両立できる職場環境の整備に取り組む事業主に支給される助成金です。男性スタッフの育児休業取得支援や、介護による離職防止の取り組みが対象になります。複数のスタッフを抱える訪問美容事業者に向いています。
- 申請窓口:各都道府県の労働局
- 対象:育児休業・介護休業制度の整備や取得促進に取り組む事業主
特定求職者雇用開発助成金【随時受付中・スタッフを雇用している事業者向け】
高齢者・障害者・母子家庭の母など、就職が困難な方をハローワーク経由で採用した事業主に支給される助成金です。訪問美容の現場スタッフとして採用する際に活用できます。
- 支給額:1人あたり60万〜240万円(対象者の種別・企業規模により異なる)
- 助成期間:1〜3年間(半年ごとに申請)
- 条件:ハローワークまたは民間の職業紹介事業者の紹介による採用であること(求人サイト・求人広告からの採用は対象外)
- 申請窓口:各都道府県の労働局またはハローワーク
- 注意点:採用前にハローワークへの求人票掲載が必要。取り組み開始前にキャリアアップ計画書の提出が必須です。
業務改善助成金【随時受付中・賃上げと設備投資をセットで行う事業者向け】
スタッフの給与を引き上げるとともに、予約管理システムの導入や施術用設備の購入など業務改善につながる投資を行った場合に、その費用の一部が助成される制度です。令和8年度は予算が前年度比20億円増の35億円に拡充されており、申請しやすい環境が続いています。
- 助成上限:最大600万円
- 助成率:3/4〜4/5(事業場内最低賃金の水準により異なる)
- 対象経費:予約管理システム・施術用機器・PC・タブレットなどの導入費用
- 受付開始:令和8年度は2026年9月1日〜(令和7年度分は受付終了)
- 注意点:交付決定を受ける前に設備を購入すると対象外になります。申請→交付決定→購入・賃上げの順序を必ず守ってください。
現在申請できる制度の一覧
| 制度名 | 主な用途 | 補助上限 | 現在の状況 |
|---|---|---|---|
| 小規模事業者持続化補助金 | 集客・設備・WEB | 最大250万円 | 申請受付中(4/30締切) |
| IT導入補助金 | 予約・顧客管理・会計 | 最大450万円 | 随時受付中 |
| キャリアアップ助成金 | 正社員化・処遇改善 | 最大80万円/人 | 随時受付中 |
| ものづくり補助金 | 新サービス開発・設備 | 最大1,250万円 | 次回公募待ち |
| 両立支援等助成金 | 育児・介護対応環境整備 | コースにより異なる | 随時受付中 |
| 特定求職者雇用開発助成金 | 就職困難者の雇用 | 最大240万円/人 | 随時受付中 |
| 業務改善助成金 | 賃上げ+設備投資 | 最大600万円 | 令和8年度は9月〜受付開始予定 |
※各制度の詳細や最新の公募状況は、中小企業庁・厚生労働省の公式サイトで必ずご確認ください。制度内容や補助額は変更される場合があります。



役所などで教えてくれるものではないので、使える補助金や助成金があるかどうか、前もって勉強することはとても大切です。













