訪問美容は、慣れない環境での施術にサロンとは異なるリスクが伴います。万が一の事故や、訪問先への損害に対する賠償責任は個人が負うことになるため、損害賠償保険への加入は欠かせない準備のひとつです。
この記事では、訪問美容に対応した損害賠償保険を2つご紹介します。
訪問美容を始めるなら、損害賠償保険への加入を検討しましょう

訪問美容を始めるなら、損害賠償保険への加入を検討しましょう
訪問美容は、サロンとは異なる環境で施術を行います。お客様の自宅や介護施設など、慣れない場所での作業になるため、床の状態・照明・スペースなど、自分でコントロールできない要素が多くあります。
また、訪問美容のお客様は高齢者や身体に障がいのある方が多く、サロンのお客様と比べてケガのリスクが高い状況で施術することも少なくありません。
万が一事故が起きた場合、損害賠償責任は個人が負うことになります。損害賠償保険はそのような事態に備えるためのものです。
訪問美容で起こりうるリスク
補償対象になる主な事故
お客様へのケガ
- ハサミでお客様にケガをさせてしまった
- 施術中にお客様の体を動かした際、不注意でケガをさせてしまった
- 車いすのお客様を移動中に不注意でケガをさせてしまった
- 薬液の使用を誤り、お客様の頭皮・毛髪・肌などに損傷を与えてしまった
- スチーマーの湯飛びでお客様にやけどを負わせてしまった
- 施術後、原因不明のアレルギーが発症しお客様が病院を受診した
お客様の衣服・持ち物への損害
- 薬液や染毛剤でお客様の衣服を汚してしまった
- 施術の補助をしていた付添人(家族・ヘルパーなど)の衣服を汚してしまった
- 施術中に一時的に預かったお客様のメガネを破損させてしまった
- 預かっていたお客様のバッグを紛失・破損させてしまった
訪問先への損害
- 染毛剤で老人ホームや居宅の床を汚してしまった
- 訪問先の壁や家具に傷をつけてしまった
補償対象外となる主な事故
- お客様の送迎中に起きた交通事故(自動車保険の対象となるため)
- 送迎車への乗り降りの際にお客様を転倒させてしまった場合(同上)
- 婚礼・式典など儀式の直前に行う訪問美容での事故
- 美容師法や都道府県条例で定められた要件を満たさない場所での施術による事故
- カラーリング後、帰宅してからソファなどに色が移ってしまった(施術結果に起因する事故)
特に送迎中の事故は保険の対象外となるケースが多いため、車での移動を伴う訪問美容を行う場合は、自動車保険の補償内容も合わせて確認しておくことをおすすめします。
teto代表中山施設外などで起きる事などは対象外になるので注意が必要です。訪問美容では多くの人が車を使うので、車関連で起きる事故などにも備えておく必要があります。
全美連の美容所賠償責任補償制度


全日本美容業生活衛生同業組合連合会が運営する補償制度です。組合員であれば組合費+年間わずか1,600円で加入できる、非常にコストパフォーマンスの高い保険です。
入会条件は美容所の登録を行っているサロンのオーナーが対象なので、フリーランスの方は利用できません。
訪問美容との関係:対象になる場合とならない場合
この制度は基本的に「美容所(サロン)での業務」を対象としていますが、訪問美容でも補償対象になるケースがあります。まず、自分がどちらに当てはまるかを確認しましょう。
| 訪問スタイル | 補償対象 |
|---|---|
| 疾病・高齢などの理由で来店できないお客様への施術(居宅訪問) | 対象 |
| 社会福祉施設・老人ホームなどへの訪問美容 | 対象 |
| 婚礼・儀式・演劇・映画出演者への出張施術 | 対象外 |
| 美容師法に違反した訪問美容 | 対象外 |
介護・福祉施設への訪問や、在宅の高齢者・障がい者のお客様を担当している方には、しっかり補償が適用されます。
補償内容のポイント
身体への賠償
- 1名につき最大 5,000万円
- 1事故につき最大 1億円
施術中にお客様がケガをした場合の治療費・慰謝料・休業補償などをカバーします。
(例)訪問先でシャンプー中にお客様が転倒してケガをした
財物への賠償
- 1事故につき最大 300万円
お客様の持ち物や施設の設備を壊してしまった場合に補償されます。
(例)染毛剤で老人ホームの床を汚してしまった
掛金(保険料)
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 年間掛金(1店舗あたり) | 1,600円 |
| うち保険料 | 1,000円 |
| うち運営事務費 | 600円 |
保険料だけで、組合費が別途必要です。
加入するには
- お住まいの都道府県の美容組合(全美連傘下)に加入していることが条件です
- 加入申込書に必要事項を記入し、掛金とともに支部・組合へ提出
- 補償は申込み翌月1日から開始(2025年度の補償期間は2026年9月1日まで)
注意:組合員のみ加入できる制度です。組合未加入の方・フリーランスの方は次にご紹介する保険をご検討ください。



tetoは福岡県美容生活衛生同業組合に加入しているので、現在はこの保険に入っています。
各都道府県の美容組合一覧はこちらなので、入会したい場合は、美容所がある都道府県の組合へ連絡してみましょう。
みんなのサロンほけん(事業活動総合保険)


美容業界向けの卸・通販サービス「ビューティガレージ」が提供する団体保険、「みんなのサロンほけん」です。法人だけでなく個人事業主・フリーランスも加入でき、訪問美容にも対応している点が大きな特徴です。
訪問美容との関係
面貸しサロン・訪問・レンタルサロンなど、どこで施術をしても補償対象となります(日本国内に限る)。組合に加入していないフリーランスの訪問美容師の方でも安心して利用できます。
補償内容のポイント
この保険は複数の補償がセットになっており、訪問美容で起こりやすいリスクを幅広くカバーしています。
| 補償の種類 | 内容 | 訪問美容での事故例 |
|---|---|---|
| 施術事故補償 | 施術に起因するお客様のケガ・持ち物の損壊 | カラーリングでお客様の洋服を汚してしまった |
| 施設危険補償 | 施術場所の管理ミスによる事故 | 訪問先の床にヘアカラー剤を落としてしまった |
| 受託物危険補償 | 預かった荷物の紛失・損傷・盗難 | 預かっていたお客様のかばんを紛失した |
| 第三者医療費用補償 | 施術中の事故でお客様がケガをした際の医療費 | 原因不明のアレルギーが起き、病院で検査が必要になった |
| 人格権侵害補償 | プライバシー侵害・名誉き損など | SNSに施術風景を投稿したところお客様が写り込んでいた |
このほか、販売商品に起因する事故(生産物危険)、借用施設への損害(受託不動産補償)、サイバー攻撃による情報漏えい(サイバー危険)なども補償されます。
掛金(保険料)
保険料は売上高によって異なり、年間8,790円から加入できます。月商100万円規模でも年間11,470円です。
加入対象・条件
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 加入できる人 | 法人・個人事業主(フリーランス)どちらも可 |
| 対象業種 | 美容室・理容室・エステ・ネイル・まつげ・脱毛・リラクゼーション・フリーランス美容師など |
| 保険料の算出 | 売上高をもとに算出 |
| 加入の前提 | ビューティガレージへの会員登録が必要 |
加入できない場合
以下に該当する場合は補償対象外となりますのでご注意ください。
- 鍼灸院・整体院・整骨院・クリニックなど医療行為を行う事業者
- スクール・専門学校の売上が大部分を占める法人
- 理美容・エステ等の収入がない個人
注意:保険料は売上高によって異なります。詳細はビューティガレージの公式サイトでご確認ください。



組合に入る前、まだ個人事業主時代に店舗もない状態の時は、理美容・エステ総合賠償責任保険「び☆すけっと!」に入っていました。
今見てみると既に販売終了となっているようなので、ビューティーガレージの保険がよさそうです。
施設と契約するためにも、保険加入は欠かせない


損害賠償保険への加入は、事故が起きたときの備えとしてだけでなく、仕事の機会そのものに関わる問題でもあります。
実際にtetoが介護施設や老人ホームなどと業務契約を結ぶ際、「損害賠償保険に加入していますか?」と確認されることがあります。施設側は万が一事故が起きた場合の賠償リスクを考慮しており、保険に加入していない美容師との契約を断るケースも実際にあります。
どれだけ技術があっても、保険未加入というだけで契約の機会を失ってしまうことがあるということです。
訪問美容を本格的に仕事にしていくなら、施設への営業を始める前に保険へ加入しておくことをおすすめします。保険は自分自身を守るだけでなく、施設に対して「責任を持って仕事に臨む姿勢」を示すものでもあります。



保険はお互いを守るものなので、お金が厳しくても、仕事として訪問美容を行うなら必ず入っておきましょう。
無保険だと、施設向けの営業面でもリスクを抱える事になります。











