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訪問美容とは?サービスの種類・利用方法・仕事内容をわかりやすく解説

訪問美容とは?サービスの種類・利用方法・仕事内容をわかりやすく解説

訪問美容とは、美容師が自宅や介護施設に出向いて施術を行うサービスです。対象者の条件やサービスの種類・料金の目安から、訪問美容師として働く方法まで、基本的な情報をまとめて解説します。

目次

訪問美容とは

訪問美容を利用する高齢者の方

訪問美容とは、美容師が美容室ではなく、自宅や介護施設・病院などに出向いてカットやカラーなどの施術を行うサービスです。

外出が難しい高齢者や障害のある方、介護や育児で外出できない方などが、プロの美容師による施術を自宅や施設にいながら受けられます。

美容師法では、美容師は保健所の許可を受けた美容所(美容室)以外での施術を原則禁止されています。ただし、平成28年の厚生労働省の通知によって対象者の範囲が明確に定められ、外出困難な方に向けたサービスは認められています。

日本では高齢化が急速に進んでおり、介護を必要とする方の数は年々増加しています。美容は生活の質(QOL)に直結しますが、体が不自由になると美容室への来店自体が困難になります。

こうした背景から、訪問美容は厚生労働省もQOLの向上に貢献するサービスとして推奨しており、社会的な役割はますます大きくなっています。需要の増加に対して訪問美容師の数が追いついていない地域も多く、今後さらに必要とされる仕事です。

訪問美容の起源は江戸時代の髪結師までさかのぼりますが、戦後に出張営業が法律で原則禁止されました。

その後、高齢化社会の進展とともに外出困難な方への対応が社会的に求められるようになり、2000年の介護保険制度の施行を経て、現在の形のサービスとして広く普及しています。

訪問美容で受けられるサービスの種類

デイサービスで散髪する福祉美容師

訪問美容で提供されるサービスは、カットを中心とした幅広いメニューがあります。ただし、事業者によって対応できるメニューは異なるため、予約前に確認することをおすすめします。

カット・カラー・パーマなど髪のお手入れ

訪問美容の中心となるのが、カットをはじめとした髪のお手入れです。カラーリング(白髪染めを含む)やパーマ、シャンプー・ブロー、縮毛矯正なども対応している事業者があります。

髪のお手入れは、訪問美容において最も需要が高いメニューです。介護が必要な状態であっても定期的に必要となるため、訪問美容を本業として安定した収入を得るにはカットを主軸にすることが前提になります。

メイク・ネイル・まつ毛・アイブロウ

カット以外にも、メイクやネイル、まつ毛・アイブロウといったサービスに対応している事業者があります。

外出が難しい方でも特別な行事や記念日に向けて身だしなみを整えたいというニーズに応えるもので、施設でのイベントや冠婚葬祭の前などに利用されることがあります。

メイク

日常的なメイクの他、冠婚葬祭や施設のイベント前など特別な機会に合わせて利用されることが多いです。

ネイル

手足の爪のケアやネイルアートに対応している事業者があります。爪の整えや保湿ケアを含む高齢者向けのフットケアとして利用されることもあります。

まつ毛・アイブロウ

まつ毛のエクステンションや眉毛の整え、アイブロウスタイリングなどに対応している事業者もあります。

訪問美容を始めたい方への注意点

ネイルやメイク、まつ毛といったサービスも提供できますが、需要の大半を占めるのはカットです。

カット以外のサービスは特別なイベント時など限定的なニーズにとどまることがほとんどで、ネイルやメイクのみで施設や利用者との月ごとの定期契約を安定して獲得することは、現実的には非常に難しい状況です。

施設側もそうしたサービスを常時必要としているわけではありません。

巷にはカットをせず、ネイルやメイクだけでも稼げるとか仕事を斡旋するような印象の宣伝も見られますが、それだけで安定した本業収入を得られるケースは数少ないと考えておく方が現実的です。

訪問美容を本業として成り立たせるためには、カットの技術と施術スピードを軸に据えることが重要です。

teto代表中山

LBLにいらっしゃった方で、スクール卒業すれば仕事を紹介して貰えて月にいくらくらい稼げるような話だったのに、全く紹介がなかったという事を伺ったことがあります。

メイクやネイルなどのサービスを提供できるようになる事は良い事ですが、基本はカットができないと訪問美容業界では厳しいという事は前もって認識しておきましょう。

訪問美容を利用できる人は?

訪問美容で高齢者施設でカットする福祉美容師

訪問美容は誰でも利用できるサービスではなく、美容師法および厚生労働省の通知によって対象者の範囲が定められています。単に高齢者というだけでは利用できませんが、年齢に関係なく対象となる場合もあります。

利用できる人の条件

平成28年3月24日の厚生労働省の通知により、以下の状態にある方が対象として明確にされています。

外出が困難な方

疾病や骨折・認知症・障害・寝たきりなど、その状態や生活環境に照らして、社会通念上、美容室への来店が困難と認められる方が対象です。具体的には以下のような状態が該当します。

  • 病気や体調不良による外出困難
  • 骨折などの怪我
  • 認知症
  • 障害(障害児を含む)
  • 寝たきり・要介護状態
  • 精神的な障害による引きこもり
  • 婚礼などの儀式に参列する直前
  • 演芸を行う直前

医師の診断書などは必要なく、自宅・老人ホーム・デイサービスなどの場所で利用できます。また、家族が付き添えば外出できる場合でも、1人での外出が困難であれば対象となります。なお、デイサービスは通所サービスとは別に、自己負担で訪問美容を利用することが認められています。

育児・介護で外出できない方

本人が健康であっても、以下の条件に該当する場合は訪問美容を利用できます。

  • 外出困難な状態の妊婦
  • 乳幼児の育児をしており、自宅を空けると安全確保が困難になる方
  • 重度の要介護状態にある家族の介護をしており、自宅を空けると安全確保が困難になる方
  • 家族の援助や育児・介護サービスの利用が困難な方

たとえば、生まれたばかりの赤ちゃんを任せられる家族がおらず育児サービスも利用できない場合や、寝たきりの家族を介護していて外出できない場合などが該当します。こうした場合、本人の施術と合わせて同席している家族の施術を行うことも問題ありません。

利用できない方

美容室への来店が可能な方は対象外となります。年齢での線引きはないため、100歳であっても元気に外出できる状態であれば利用できません。以下のような理由だけでは対象にはなりません。

  • 高齢だが美容室に行ける
  • 美容室に行くのが面倒
  • 仕事や家事の都合で時間がない
  • 家族の援助や育児・介護サービスが利用できる

利用できるか判断に迷う場合

対象かどうかはっきりしない場合は、お住まいの地域で営業している訪問美容の事業者に相談するのが確実です。状況を伝えると、訪問可能かどうかを教えてもらえます。

また、男性で顔剃りを希望する場合は理容師でないと対応できないため、そうしたサービスへの対応可否も合わせて確認しておくとよいでしょう。

訪問美容のメリット

高齢者施設で誘導を行う訪問美容師

訪問美容の最大のメリットは、自宅や施設にいながらプロの施術を受けられることです。外出が難しい状況でも美容を楽しめるという点で、利用者の生活の質に直結するサービスです。

身体・安全面のメリット

  • 移動が不要なため、乗り降りや歩行による身体への負担がない
  • 移動中の転倒や体調悪化といったリスクを避けられる
  • 車いすや寝たきりの状態でもプロの施術を受けられる
  • 不特定多数が集まる美容室と比べ、感染症リスクを抑えられる

精神・生活面のメリット

  • 自宅や普段の施設など慣れた環境での施術なので、精神的な負担が少ない
  • 認知症の方や環境の変化に敏感な方にも安心
  • 定期的に髪を整えることで気分転換になり、ポジティブな感情につながる
  • 外出が困難な状況でも身だしなみや清潔感を保てる

利便性のメリット

  • 予約制のため待ち時間がほとんどない
  • 体調不良によるキャンセルや日程変更の相談がしやすい
  • 乳幼児の育児中・家族の介護中で外出できない方も、条件によっては利用できる
  • 要介護の家族の施術に合わせて、付き添いの家族が一緒に施術を受けられる場合がある

訪問美容の料金の目安

美容師のはさみ

訪問美容の料金は、在宅向けと施設向けで大きく異なります。以下は全国の訪問美容事業者の料金を独自に調査したデータをもとにした相場です(2026年2月時点、カット料金のみ、出張費別)。

カット料金の相場

種別全国平均中央値
在宅向け4,206円4,180円
施設向け2,226円2,200円

施設向けの料金が在宅向けより低い理由は、施設での施術は1日に複数人をまとめて対応できるため、1人あたりの移動コストが抑えられることが主な要因です。在宅向けは1件ごとに移動が発生するため、その分が料金に反映されます。

出張費の目安

在宅向けの訪問美容では、カット料金とは別に出張費がかかる場合がほとんどです。一般的な設定例は以下の通りです。

  • 一律1,000円程度
  • 距離に応じた設定(例:10km以内1,000円、20km以内2,000円など)
  • 対応エリアが広く長距離移動が発生する場合は3,000円程度になるケースもある

カラーやパーマなどカット以外のメニューは別途料金が発生します。事業者によって料金体系が異なるため、予約前に確認しておくことをおすすめします。

訪問美容の利用の流れ

訪問美容でベッドカットを行う介護美容師

訪問美容を初めて利用する場合、どのように進めればよいか迷うことも多いと思います。一般的な流れは以下の通りです。

STEP
ホームページなどからお問い合わせや予約

電話、メール、お問合せフォームなどを使って、お問合せや予約するのが一般的です。ただし、初めてのお客様の場合は、必ずケアマネージャーを挟んでもらう会社などもあるので、分からない場合はお問合せで聞いてみましょう。

STEP
ヒアリングと予約
  • ご利用できる方か
  • ご希望のメニューがあるか
  • 施術にかかる時間
  • 駐車スペースがあるか
  • 施術スペースは確保できるか
  • 希望の日時
  • 料金や出張料金

これらを聞いて問題なければ予約となります。

STEP
当日に施術場所を確保する

カットのみでも1畳~2畳程度のスペースが必要になるので、そのスペースを確保しておきましょう。施術場所は、座位が取れる方はリビング、寝たきりの方は寝室でベッドカットになります。

シャンプーを行う場合に、お風呂や洗面台ではなく移動式シャンプー台を使う場合は、更に倍近くのスペースを確保しておいた方がいいです。

また、当日はご家族やケアマネージャーなどの立ち合いが望ましいです。立ち合いがないと予約ができない会社もあります。

STEP
施術

カットのみなら20分前後で終わります。シャンプー、カラー、パーマなど、メニューに応じた時間がかかるので、依頼した内容に応じて、ご自身や立ち合い者の時間を確保しておく必要があります。

STEP
掃除・お会計・次回のご予約

施術が終わったら、施術場所を掃除し、お会計をいただきます。その際、次回のご予約をいただく方も多くいらっしゃいます。

体調によってスケジュールの調整が必要になることもありますが、あらかじめご予約いただいておくと、お客様にとっても美容師にとっても、他のスケジュールを組みやすくなります。

当日の準備や注意点など、利用の流れについての詳細は以下の記事で解説しています。

訪問美容師とはどんな仕事か

訪問美容で施術中の福祉美容師たち

訪問美容師とは、美容室ではなく介護施設や病院、個人宅などに出向いて施術を行う美容師です。美容師免許が必要な点は通常の美容師と同じですが、働く環境や対象とする利用者が大きく異なります。

どんな場所で施術するのか

主な施術場所は以下の通りです。

  • 特別養護老人ホーム・有料老人ホームなどの介護施設
  • デイサービス・デイケアなどの通所施設
  • 病院・療養施設
  • 障害者施設
  • 個人宅(在宅訪問)

施設への訪問は、施設と事業者が契約を結んで定期的に訪問するケースがほとんどです。在宅訪問は1件ずつ個別の予約対応になるため、施設訪問と比べて移動の効率は下がりますが、利用者との関係が深くなりやすいという特徴があります。

どんな人に施術するのか

利用者の多くは、要介護状態の高齢者や障害のある方です。車いすや寝たきりの方、認知症の方など、通常の美容室での施術とは異なる配慮や対応が求められます。

利用者の体調や体の状態に合わせた姿勢での施術、コミュニケーションの取り方など、介護の現場ならではのスキルが必要です。

通常の美容師との違い

スクロールできます
項目美容室勤務訪問美容師
指名・売上指名制でスタッフごとに売上が変わる基本は指名なし。チームで売上を作るため、極端な差が生まれにくい
主な施術内容カット・カラー・パーマなど幅広いカットのみが半数以上。カラーはほぼ白髪染め
求められるスタイルトレンドを意識したおしゃれなスタイルが多いスッキリした清潔感のある髪型が中心
施術姿勢基本は座位での施術ベッド上でのシャンプーや、傾いた姿勢でのカットなど特殊な体勢も多い
トレンド対応毎年の流行に合わせた技術習得が必要トレンドを追う必要がほぼない
勤務時間閉店まで店内待機が発生することも必要な時間だけ訪問。夕方には仕事が終わり、昼休みも確保しやすい
道具店舗に設備が揃っている必要な道具を持参する必要がある

特殊な姿勢や角度でのカット・シャンプーは、訪問美容ならではの技術です。一方で、トレンドや最新薬剤の習得プレッシャーが少なく、技術が安定すれば働きやすい環境とも言えます。

また、施設訪問では昼食・服薬の時間が決まっているため、昼休みが自然に確保され、外出してリフレッシュすることも可能です。

訪問美容師の働き方・収入

訪問美容師としてベッドカットを行う

訪問美容師の働き方は大きく3つに分かれます。それぞれ収入の仕組みや特徴が異なります。

正社員・パート

訪問美容の事業者に雇用される形です。正社員の場合、入職当初は月収18〜22万円程度が一般的で、経験を積んで任せられる業務が増えるにつれて月収30万円前後まで上がるケースが多くあります。

管理業務やエリアマネージャーなどの役職に就くとさらに収入が上がります。

サロンのように個人の指名数で収入が左右されにくく、チーム全体で売り上げを作る仕組みのため、「指名が取れないと稼げない」という状況になりにくいのが特徴です。パート・アルバイトの時給は地域の最低賃金〜1,500円程度が一般的です。

業務委託

雇用契約ではなく、案件ごとに報酬が発生する形です。雇用の保障がない分、時給換算での報酬は高めに設定されており、1日あたり8,000〜15,000円程度が多く、平均すると10,000〜12,000円前後になります。

1日にどれだけの人数に施術できるかで報酬が変わるため、施術スピードと技術力が収入に直結します。稼働日数も自分で決められるため、月収は0円から40万円前後まで幅があります。

独立開業

自分で事業者として施設と契約を結び、スタッフを抱えて運営する形です。

契約が取れなければ収入は0円ですが、施設との契約を継続的に獲得できれば、事業が軌道に乗れば月収50〜100万円を目指せる水準になり、サロン勤務の美容師より稼ぎやすくなります。

営業・契約・スタッフ管理まで自分で担う必要があり、施術スキル以外のビジネス面での能力も必要です。

訪問美容師になるには

tetoとLBLのレッスン風景

訪問美容師になるために必要な資格は、通常の美容師と同じく美容師免許です。追加の資格は法律上は不要ですが、現場で即戦力として活躍するには免許取得後の実務経験が重要になります。

  • 美容師・理容師免許:必須
  • 自動車運転免許:ほぼ必須
  • 介護系の資格:あると就職での採用率、施設との契約面でもプラス
  • 訪問美容系の資格:それ自体は必須じゃないが、そこでの勉強や経験がある証になる

働き方としては、訪問美容の事業者に就職してノウハウを学ぶところから始めるのが一般的です。訪問美容はサロンとは異なる環境・利用者への対応が求められるため、実際の現場で経験を積むことが近道になります。

また、前述の通り訪問美容を本業として安定した収入を得るには、カットを主軸に据えることが重要です。

ネイルやメイクなどに特化したスクールへの高額な投資を検討している場合は、それだけで安定した収入を得ることは現実的に難しい点を踏まえた上で判断することをおすすめします。

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この記事を書いた人

中山貴史のアバター 中山貴史 teto代表

株式会社teto 代表取締役。美容師としての現場経験を経て、2010年に訪問理美容tetoを開設。2014年に株式会社tetoを設立し、高齢者施設・医療機関向けの訪問理美容サービスを展開。

現在は約400施設と契約し、年間55,000名以上の施術を担当。これまでに100名以上の訪問美容師を育成し、福祉美容分野の人材育成にも注力している。

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