訪問美容師として働きたいと考えたとき、「どんな資格が必要なのか」「美容師免許だけで足りるのか」といった疑問を持つ方は多いでしょう。
この記事では、訪問美容師に必須の資格、逆に不要な資格、そして現場で高く評価される介護資格まで、実務目線で整理して解説します。
訪問美容師になるための必須資格

訪問美容師になるために必須の資格は美容師免許のみです。
訪問美容師だから、訪問美容系の講座で資格を取ったり、介護系の資格が必要なのではと思う方もいらっしゃいますが、それらがなくても美容師免許があれば仕事は可能です。
ただし、特殊な環境での仕事になるので、美容師免許+必要な資質があります。
- 相手の立場に立って考えられる人
- コミュニケーションが柔らかい人
- 変化に強く、臨機応変に動ける人
- 体力、持久力がある人
- 小さな変化に気づける人
- 約束・時間・記録をきちんと守れる人
これらは、訪問美容師として仕事をしていく上で免許とともに非常に大切な部分です。

訪問美容師の仕事上でほぼ必須の資格

訪問美容師になる上で法的に必須なのは美容師免許だけですが、業務的に必須なのは自動車運転免許です。様々な施設に、沢山の道具を持って出張するので、車で移動できないと仕事になりません。
大きな会社だと、会社の車は使える場合はありますが、個人で行う人や小さな会社だと車も必須と言えます。
免許がないと、免許がある人と一緒に行ける範囲の施設で、その人を組み込めるシフト状況じゃないと仕事がないので、仕事の幅がかなり狭くなります。
訪問美容を始めたいなら、時間に余裕がある時に自動車運転免許は取得される事をおすすめします。

訪問美容師になるために必ずしも必要ではない資格

- 介護系の資格
- 看護師資格
- 訪問美容師の講座で取得できる資格や認定証
これらの資格や認定証は、訪問美容師として仕事をする上で法的に必須ではありません。ただし、施設や施術を受ける高齢者の方などは、あると安心されるので、時間に余裕がある方にはおすすめできます。
以下は、講座終了後に独自の資格や認定証がもらえる訪問美容の講座やスクールです。
| 運営会社 | 開催地域 | 料金 | 講習日数 | 現場体験 | マンツーマン |
|---|---|---|---|---|---|
| 日本福祉ネットワーク協会 | 五大都市 | 33,000円 | 1日(6時間) | なし | なし |
| 日本訪問福祉理美容協会 | 全国 | 25,000円 | 1日(5時間) | なし | なし |
| 日本訪問理美容推進協会 | 全国 | 44,000円~ | 1日(5時間半) | なし | なし |
| NPO全国介護理美容福祉協会 | 東京 | 47,500円 | 4日(28時間) | なし | なし |
| 日本理美容福祉協会 | 全国 | 27,000円 | 2日(14時間) | なし | なし |
| LBL(訪問理美容teto) | 福岡県 | 66,000円 | 3日(18時間) | あり | あり |
※2026年2月時点での情報です。
美容師免許があっても美容師として現場で仕事をするには、最低限の知識や技術の習得が必要だったのと同じで、訪問美容師としての技術や知識を学んでから始めましょう。
LBLの資格は現場実習まで行ったという証にもなります。
teto代表中山私の経験から、最低でも1日は現場実習を行った方がいいと思っているので、LBLではカリキュラムに組み込んでいます。
許可を得た施設で、実際にお客様に施術を行い、体験しながら学ぶことができます。






訪問美容師として現場で評価される介護資格


仕事をするのに必須ではありませんが、介護系の資格を取得していると、施設側から歓迎されたり、お客様から安心して任せていただけるなどメリットがあります。
- 介護職員初任者研修
- 介護福祉士実務者研修
- 介護福祉士
- ケアマネージャー
- 認定介護福祉士
介護福祉士は国家資格で実務経験が必要になるので、美容師から訪問美容師になる場合に、すぐに取得するのは無理です。美容師で介護の実務経験がなく取得可能な、介護職員初任者研修と介護福祉士実務者研修の違いを見てみましょう。
| 項目 | 介護職員初任者研修 | 介護福祉士実務者研修 |
|---|---|---|
| 位置づけ | 介護の基礎を学ぶ入門資格 | 介護福祉士国家資格の受験要件となる研修 |
| 受講条件 | 誰でも受講可能 | 誰でも受講可能(初任者研修修了者は一部免除あり) |
| 受講時間 | 約130時間 | 約450時間(初任者研修修了者は約320時間) |
| 医療的ケア | 含まれない | 含まれる(たん吸引・経管栄養など) |
| 修了試験 | あり | あり |
| 取得までの期間 | 1〜3か月程度 | 6か月〜1年程度 |
| 費用相場 | 5〜10万円前後 | 10〜20万円前後 |
| 訪問美容師との相性 | 基礎的な介助理解として十分 | 重度利用者対応や施設からの信頼度が高い |
訪問美容師としては介護職員初任者研修で十分です。これを修了しているだけでも、介護の場の知識が入っているので、安心して貰えます。
私が始めたころは持っていない人も多かったので、施設の方から「ヘルパーを持っていらっしゃるなら」と歓迎して貰えた事があります。
ただ現在は、多くの訪問美容師が取得する様になったので、差別化したい人は介護福祉士実務者研修まで修了すると、他の人より安心感が高くなるので、施設側へのアピール材料になります。
独立開業時に必要な資格や届出


自分で事業として行っていく場合は以下も必要になります。
- 美容所の開設届(地域によって違いあり)
- 開業届
- 青色申告承認申請手続
- 美容師免許の写し
- 管理美容師の資格(必要な施設あり)
- インボイス発行事業者登録
美容所の開設届(地域によって違いあり)
本来は店など特定の場所を美容所として届出し許可が下りた場所でしか美容業は行えませんが、外出困難な方に対しては訪問美容を行う事は認められています。国としては認めていますが、各自治体でどういう事が必要なのかは違います。
- 店舗が必要な自治体
- 店舗は不要だが届出が必要な自治体
- 店舗も届け出も不要な自治体
この3パータンがあるので、営業所とする場所がある地域や、営業を行う地域がどういうルールになっているのかは必ず確認しておきましょう。



私は福岡市から始めましたが、福岡市は店舗も届け出も不要でした。
しかし、エリアが広くなり各地域に事業所を置くようになるとルールも違うので、必要な地域では新規で契約した施設様の情報や、従業員数などを更新して届出しなおしています。
開業届
| 区分 | 開業届を出さなくてもいい人 | 開業届を出した方がいい人 |
|---|---|---|
| 収入規模 | 年間所得20万円未満 | 年間所得が20万円以上 |
| 活動内容 | 単発や頻度が低い不定期 | 事業として継続運営する |
| 青色申告 | 利用予定なし | 使いたい |
| 経費計上 | 経費がほとんど発生しない | 経費が多い |
| 赤字 | 赤字でも税務上のメリットを求めない | 赤字を繰り越したい |
| 社会的信用 | 屋号・事業証明が不要 | 屋号口座開設、取引先への信用が必要 |
| 税務リスク | 税務署からの管理を極力増やしたくない | 適切に申告・帳簿管理を行う意思がある |
| 将来性 | 今後も本格化する予定がない | 将来的に法人化・事業拡大を視野に入れている |
| 公的な支援 | 受けられない場合がある | 条件に合えば補助金や助成金を受けられる |
美容業、訪問美容に限らず、所得税法により事業開始から1ヶ月以内の提出が原則的な法律上の義務です。提出しなくても罰則はありませんが、所得があるのに確定申告を行わないのは脱税になります。


青色申告承認申請手続
事業として行っていくなら、開業届を出すと同時に青色申告承認申請書も提出しましょう。
青色申告のメリット
- 最大65万円の青色申告特別控除を受けられる
- 事業の赤字を給与所得などと相殺できる(損益通算)
- 赤字を最長3年間繰り越せる
- 家族への給与を経費にできる(要件あり)
青色申告のデメリット
- 帳簿付けが必須
- 提出期限を守らないと無効
- 継続した事務作業が必要
- 知識ゼロだと最初は戸惑う
簿記が難しくなるイメージがありますが、今の時代は会計ソフトで必要なものを打ち込むだけで、青色申告に必要な複式簿記による記帳と、貸借対照表・損益計算書の添付を行ってくれるので、簿記が全く分からない私でもできました。
美容師免許の写し
施設によっては、無免許の美容師を排除するために「美容師免許の写しを提出してください」と言われることがあります。
資格取得した日以来見ていない、就活に使ったがその後どこに保管したか覚えていないという人も多いので、訪問美容師を始めるなら、提出用にコピーを取っておくといいです。
無くした場合は、「公益財団法人理容師美容師試験研修センター」で再交付申請が可能です。
管理美容師の資格(必要な施設あり)
店舗ではなく、スポットで不定期での施術になるので、基本的には管理美容師の資格は求められる事はほとんどありません。
しかし、一部の高級系施設だと、専用の美容室が設けられている場合があります。そこで必ず施術するので、施設側から管理美容師の資格があるかどうかを確認されることがあります。



tetoでは実際に管理美容師をお願いされている施設はあります。実店舗もあるので、他のスタッフも管理美容師の資格を取得しています。
インボイス発行事業者登録
請求書や領収書を発行するときに、インボイスを求める施設様はかなり多くなっています。訪問美容事業を行う上で法的に必須ではありませんが、事業をする上では必須になってきているので、申請しておきましょう。
登録していないと、取引先が消費税を控除できないので契約して貰えない、消費税分の減額を求められることが多くなるなど、事業として不利になる場合があります。













