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訪問美容師になるメリット・デメリットを20年超の経験から解説

訪問美容師になるメリット・デメリットを20年超の経験から解説

訪問美容師はサロン勤務とは働き方も、仕事のやりがいも大きく異なります。

「転職を考えているけれど実態がわからない」という美容師に向けて、サロン勤務と17年以上の訪問美容の現場で得た実体験をもとに、メリット・デメリットを包み隠さずまとめました。

目次

訪問美容師として働くメリット

訪問美容師として働く女性

訪問美容はサロン勤務とは働き方もやりがいも大きく異なります。実際にサロンから訪問美容に転じた美容師の多くが「サロンには戻りたくない」と口をそろえるほど、独自の魅力があります。

指名もノルマもなく、競争のプレッシャーがない

サロンでは指名数や店販の売上がスタッフ間で可視化されやすく、常に数字を意識させられます。訪問美容には指名制度やノルマは基本的にないので、サロン勤務で感じがちな競争のきつさがありません。

後輩に売上や技術で追い抜かれるプレッシャーもなく、30代になって「年齢的に浮いてきた」と感じるようなこともありません。

teto代表中山

1人のお客様を2人で施術する場合などもあり、明確に誰がどの程度の売上とするのが難しいことも多いです。

また、ノルマや売上に対するインセンティブを付けると、早く簡単に切れる人や施設に行きたがる人も増えるので、訪問美容業界には馴染みません。

スタッフ同士の仲がいい職場が多い

スタッフはそれぞれ異なる現場を担当するため、同僚と長時間同じ空間に縛られることがありません。サロンのように四六時中顔を合わせ続ける環境とは違い、密になりすぎない距離感が自然と保たれます。

また、ノルマで競い合うようなこともないので、スタッフ同士の仲がいい会社が多いのが実態です。

立ちっぱなしによる消耗がない

サロン勤務では、お客様がいない時間も店内に立ちっぱなしでいなければなりません。何もしていないのに疲れる…この感覚はサロン経験者なら分かるはずです。

訪問美容では、仕事がない状態で施設やお客様の自宅に居続けることはないのと、施術と施術の間に移動することもあるので、メリハリをつけて働けます。

手袋をつけたまま施術できる

サロンでは手袋をつけての施術が難しい場面も多いですが、訪問美容ではそのような制約がないため、手荒れや肌の弱さを理由にサロン勤務を悩んでいた方でも安心して働けます。

サロン勤務より衛生面は重要視されるので、マスク着用はもちろん、カットのみでも手袋をつけたままの施術で問題ありません。肌が弱いけど美容師は続けたい方は、訪問美容を選択肢にしてみることをおすすめします。

残業がほぼなく、終わりの時間が読める

施設への訪問は基本的に16時前後には終わります。直帰であればそこで仕事は終わりで、会社に戻るケースでも18時には業務を終えられます。

残業が発生するとすれば、渋滞や仕事後の研修・レッスンくらいのもので、施設の終わりの時間が決まっている以上、仕事が長引くことは構造的にほぼ起きません。

teto代表中山

夕方以降に予定を入れたり、家族との時間を持ちやすいので、ワークライフバランスに優れています。

昼休みが必ず取れる

施設では入居者のお昼ご飯やお薬の時間が決まっているため、その間は美容師も手を止めて休憩することになります。これは施設側の都合で必ず発生するもので、美容師が昼休みを取れないということがありません。

1時間程度の昼休みが必ず取れるのは、朝から晩まで缶詰になることも多いサロン勤務との大きな違いのひとつです。その時間は施設外に出て、食事に行ったり、車の中でのんびり過ごすなどリフレッシュできます。

柔軟な働き方ができる

土日のどちらかを休みたいといった希望も、サロンより格段に通りやすいのが訪問美容です。パートや時短勤務での採用も積極的に行われており、子育て中や家族の介護と両立したい美容師にとって、サロンよりずっと現実的な選択肢になっています。

teto代表中山

土日は訪問美容業界も忙しいですが、、週に1日はしっかり家族との時間を取れるように、tetoは土曜日を休業日にしています。

午前中のみ、午後のみ、月2時間からでもOKなど、様々な事情を考慮したシフトを組んでいるので、ご興味ある方はぜひお問合せください。

「ありがとう」が仕事の中心にある

外出が難しい高齢者や障がいのある方にとって、訪問美容師は美容院に行けない生活の中で外見を整えられる貴重な存在です。施術後に「ありがとう」「きれいになった」と言ってもらえる場面が多く、必要とされていることを日常的に実感できる仕事です。

利用者の人生に寄り添える

サロンの美容師が提供するのは技術とサービスですが、訪問美容師が提供するのはそれだけではありません。外出の機会が限られた利用者にとって、定期的な訪問はおしゃれを楽しむ時間であり、話し相手ができる時間でもあります。

長く通い続けるなかで関係性が深まり、単なる美容師という枠を超えて、その人の日常や人生に寄り添う存在になっていきます。

リピート率が高い

同じ利用者に定期的に施術するため、自然とリピート率が高くなります。サロンのように新規集客に追われることなく、一度関係を築いた利用者に長く理容師続けてもらえるのは、訪問美容ならではの安定感です。

収入が安定している

サロン勤務では指名数や店販実績によって収入に大きな差が出ます。稼げるスタッフと最底辺のスタッフで月収が大きく変わる世界ですが、訪問美容にはその格差がありません。

業務委託であれば、仕事さえ安定的にあれば1日1万円〜1万2,000円程度が平均的な報酬で、件数が多い日には1万8,000円を超えるスタッフもいます。開業して施設との契約をしっかり取れれば、安定して長く稼いでいけます。

店舗型サロンと違い家賃や内装工事費などの固定費を大幅に抑えられるため、低コストでの開業が可能です。大きな施設と契約できれば、1か所でまとまった件数を効率よくこなせます。

需要が拡大している成長市場

高齢化の進展に伴い、訪問美容の需要は拡大を続けているので、今後も安定して仕事がある市場です。

現役の美容師であれば、訪問美容に特化した数日間の講習を受ければ必要な知識と技術は十分に習得できます。あとは現場に出ながら実践で身につけていけばよく、サロン経験者にとって参入のハードルは決して高くありません。

今後さらに需要が拡大していく市場に、今のタイミングで入っておく意味は大きいです。

訪問美容師として働くデメリット

訪問美容師として働く女性

働きやすさや安定性がある一方で、訪問美容ならではの課題もあります。事前に把握しておくことで、現場に出てからのギャップを減らせます。

独立後は自ら営業して契約を取る必要がある

サロン開業であれば検索やSNSからの集客が見込めますが、訪問美容は施設や個人宅に自ら営業をかけて契約を取る必要があります。

ネットから自然に集客できるサロンとは根本的に違い、足を使った営業活動が不可欠です。初めて訪問美容に携わる人にとって、この営業活動は大きなハードルです。

契約数が少ない段階では収入も安定しにくいため、立ち上げ期の苦労は避けられません。

体に負担のかかる姿勢での施術が多い

施術場所によっては照明が暗かったり、椅子の高さが調整できなかったりすることがあります。サロンのように真っすぐな姿勢で切れない場面も多く、無理な体勢での施術が続くと腰や肩への負担が蓄積していきます。

これはサロン勤務では経験しにくい、訪問美容特有の体への負荷です。身体のケアを意識的に続けることが必要です。

teto代表中山

サロン勤務の友人たちも手伝いに来てくれますが、普段の姿勢と違うので、普段起きない場所の筋肉痛が起きたなど言われることも多いです。

美容の知識だけでなく介護の知識も必要

訪問美容の利用者には高齢者や障がいのある方が多く、体の動かし方への配慮や認知症の特性など、介護に関する基本的な知識が求められます。施術中の体位変換や急な体調変化への対応など、サロンでは経験しない場面に直面することもあります。

部屋から施術場所への誘導や、車いすへの移乗など、サロン勤務では絶対に行わないこともある上に、怪我などのリスクもある部分なので、しっかり学んでおくべき部分です。

お客様の事故リスクがサロンより高い

自宅や施設での施術はサロンと異なり、環境が整っていない状況での対応が求められます。転倒や体調急変など、お客様に関わる事故のリスクはサロンよりも高く、万が一に備えた保険への加入は必須です。

フリーランスの方は在宅訪問が中心になると思います。その際は、何かあった時の為にも、必ずご家族、ケアマネージャーやヘルパーさんなど、お客様以外に同席できる方がいらっしゃる時間に施術することをおすすめします。

キャンセルが多く、契約数が少ないと収入が不安定になる

高齢の利用者は体調を崩しやすく、当日のキャンセルが発生することが珍しくありません。

契約施設や訪問件数が少ない時期は、キャンセルの影響が収入に直結します。契約先をある程度確保するまでは、収入の不安定さを覚悟しておく必要があります。

お客様が増えるまでは、訪問美容を行っている会社などでも業務委託で仕事をするなども1つの選択肢です。

teto代表中山

風邪やインフルエンザが流行すれば、施設単位でいくつもキャンセルが発生します。コロナ過はかなり厳しい状況でした。

感染症の疑いがある方や皮膚に症状がある方など、施術を断らなければならないケースがあります。サロンと同様にほぼ全員に対応できるわけではありません。

毎回の道具の持ち運びに手間と労力がかかる

訪問のたびに、カット道具一式はもちろん、ケープや簡易的な施術スペースを設置するための備品をすべて持参する必要があります。サロンでは道具が常に所定の場所にありますが、訪問美容では毎回の準備・撤収が伴います。

荷物の量はかなり多く、それを持ち運ぶ手間と体力は無視できません。

自動車と免許がほぼ必須で、移動時間と交通費がかかる

訪問美容では複数の施設や自宅を回るため、自動車と運転免許がほぼ必須です。複数の施設や家を回る日は移動時間だけで相当なロスになります。交通費もかかるため、効率よく回るルート設計が実収入に直結します。

様々な道具を持ち運ぶ面からも車は必須です。施術後の髪やゴミなども持ち帰るので、公共機関を使うと衛生面などでもかなり気を遣う事になります。

トレンドから置いていかれ、サロン復帰が難しくなる

訪問美容はカット中心の施術が基本です。カラーやパーマをやる機会は少なく、最新の薬剤やトレンドの技術に触れる機会も情報も自然と少なくなります。

長く訪問美容だけを続けていると、サロンへの復帰を考えたときに技術的なブランクを強く感じることになります。カットの基本技術とスピードは常に求められるため、その維持は必須です。

いずれサロン勤務に復帰したい場合は、意識して講習に参加したり情報収集したりしないと、気づかないうちに取り残されていきます。

利用者との別れが避けられない

訪問美容の利用者には高齢の方が多く、長く通ううちに利用者が亡くなるという経験を繰り返すことになります。定期的に顔を合わせ、会話を重ねた相手を見送ることは、関係性が深いほど精神的な負担になります。

利用者の人生に寄り添えることがやりがいになる反面、別れの多さはこの仕事特有のつらさでもあります。気持ちの整理のしかたや、仕事とプライベートの感情の切り分けは、続けるうえで自分なりに向き合っていく必要があります。

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この記事を書いた人

中山貴史のアバター 中山貴史 teto代表

株式会社teto 代表取締役。美容師としての現場経験を経て、2010年に訪問理美容tetoを開設。2014年に株式会社tetoを設立し、高齢者施設・医療機関向けの訪問理美容サービスを展開。

現在は約400施設と契約し、年間55,000名以上の施術を担当。これまでに100名以上の訪問美容師を育成し、福祉美容分野の人材育成にも注力している。

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